花と器

著者 :
  • 神無書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (129ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784873580630

感想・レビュー・書評

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  • 身近に一緒にいる花も
    活きる その姿に

    自分の中身が見えてくる気がした。


    なんて、見習いたいと
    ほれぼれ 眺めてみるのがいい。

  • 旧白洲邸 武相荘 Buaiso
    https://buaiso.com/

    川瀬敏郎 Kawase Toshiro Official Homepage
    http://kawase-toshiro.net/

    花と器 / 川瀬 敏郎【花】/白洲 正子【文】/小林 庸浩【撮影】 - 紀伊國屋書店ウェブストア
    https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784873580630

  • 35歳で、これだけの仕事をし、これだけの文章を書くことに、正直焦りを感じた。古典を血肉化し、深く哲学をし、実際に手を動かしてきた人にしか、これだけのものは書けない。

    孤独と悲しさをを背負いつつも、しかしなお真理を探究する、その姿勢に、自分自身、大きく省みることがある。

    もっとしっかりと日本文化を、それが生まれた歴史を、そして古典を学びたいと思った。そして、日本的な「ことば」とは何なのか、またそれを書にしていくのはどういうことなのかを、しっかりと考えていきたい。このままでは到底だめだ。日本についてほんとうに何も知らない。自分が恥ずかしい。このままでは何も掴まないまま、つまり表現においても何も本質に至らないまま、この生を終えてしまう。

    あとは、これまでの論文的な書き方に違和感が出て来た。ここでの川瀬さんの書きぶりとか、渋沢さんの言葉とか、もうすこし表面をなでながら、しかしそこに含まれる質量自体は深さがある、そういう言葉使いを目指していきたい。

    花については、「ぱーっと広がりを持っている」ように見える。「活かされている」という印象を抱いた。センス素晴らしい。



    以下引用

    今、川瀬さんは、一つの節目にさしかかっている。一生のうちに、人はそういう危機に出会うものだが、一応世間には認められた、評判もいい、どんな花でも自由にできる、そういうこと自体が不安に感じる時期もあるのだ。そこでそのまま世間の波に押し流されて終わるか、または踏みとどまって自己を顧みることにより、一段と大きく成長するか

    和泉式部:くらきより くらき道にぞ 入りぬべき はるかに照らせ 山の端の月

    源氏物語:
    いろいろと散りまがふ木の葉の中より、青海梅の輝き出でたる様、いと恐ろしきまで見ゆ

    新古今集:
    ながめつる今日は昔になりぬとも軒端の梅よ我を忘るな

    現に私は一輪の梅を見て、八百年前の式子内親王の魂と出会っています。それは嘘ではありません。だとしたら、そう、それは自然の嘘なのです。自然に嘘などないと誰もが考えています。しかし自然が巧妙に仕組んだこの嘘を逆手にとって、人間の自然としてきたものこそが、かっこ付きの「花」

    草木みなものいふことあり

    くらきより暗き道にぞ入りぬべき はるかに照らせ山の端の月

    ★もし日本に「花」という生命美学がなければ、式子内親王は遠い昔のすぐれた歌人であったという、歴史の中の一ページに印された人に過ぎなかったに違いありません。しかし内親王は自分の魂を軒端の梅に託し、梅と化したことで、毎年毎年新しい生命となって甦り、八百年後の今も、私の目前に咲いている梅の花となって、現に生きています。埃をかぶった生命ではなく、その生命は常に現在のものです。西洋の歴史観と日本のそれとが根本的に違うのはそこだと思われます。八百年前も今も、花という甦りの象徴を通して、時間の距離がないのです。たとえば絵巻物がそうです。それは時間というものを全く無視した世界です。

    ★日本の文化は自然と深い繋がりを持っています。能も茶も花も、日本の自然が生んだものです。その日本の自然とは、式子内親王もふくめて我々祖先が一木一草と化した、民族の記憶としての自然です。

    自然の嘘=花を心底知り抜いた

    日本人が求めてきたこの「花」を、私も求めています。花の修業というものも、この自然の嘘をとことん肉体化することです。そして、この自然の嘘をとことん肉体化した果てに、自分を自然そのものとした時、はじめてこの「花」は完結する

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著者プロフィール

1910(明治43)年、東京生れ。実家は薩摩出身の樺山伯爵家。学習院女子部初等科卒業後、渡米。ハートリッジ・スクールを卒業して帰国。翌1929年、白洲次郎と結婚。1964年『能面』で、1972年『かくれ里』で、読売文学賞を受賞。他に『お能の見方』『明恵上人』『近江山河抄』『十一面観音巡礼』『西行』『いまなぜ青山二郎なのか』『白洲正子自伝』など多数の著作がある。

「2018年 『たしなみについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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