戦後日本語教育学とナショナリズム

著者 :
  • くろしお出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784874245453

作品紹介・あらすじ

日本人と同じであれ、かつ異なれ-戦後60年、日本語教育学が織りなしてきたナショナリズムの論理とは?-。

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  • 【書誌情報】
    『戦後日本語教育学とナショナリズム――「思考様式言説」に見る包摂と差異化の論理』
    著者:牲川 波都季[http://segawa.matrix.jp/]
    装丁:桂川 潤
    定価:3,300円(3,000円+税)
    ISBN:978-4-87424-545-3 C3037
    発売日:2012/2/15
    判型:A5
    ページ数:244頁
    ジャンル:日本語教育 ― 日本語教育専門書

    日本語教育学が織りなしてきたナショナリズムの論理とは? 学習者の包摂/差異化を正当化する言説,その連綿と続く絡まりを,戦後60年にわたる日本語教育学の事例から解きほぐしていく。メタ日本語教育学の始動をつげる一冊。
    http://www.9640.jp/xoops/modules/bmc/detail.php?book_id=30587

    【簡易目次】
    はじめに [iii-vi]
    目次 [vii-xi]

    第1章 なぜ戦後日本語教育学のナショナリズムを問うのか
    第2章 思考様式言説の変遷
    第3章 第I期「日本語=日本人の思考様式論」前史:敗戦~1970年代初め
    第4章 第II期「日本語=日本人の思考様式論」による包摂:1970年代半ば~80年代前半
    第5章 第III期「日本人の思考様式」理解がもたらす包摂と差異化:1980年代後半~2000年代前半
    第6章 戦後日本語教育学とナショナリズム


    【著者略歴】 牲川波都季(せがわ・はづき)
     早稲田大学大学院日本語教育研究科修了,博士(日本語教育学)。
     早稲田大学日本語研究教育センター助手,横浜国立大学留学生センター非常勤講師,ホープカレッジ現代古典言語学部客員助教等を経て,現在,秋田大学国際交流センター准教授。専門は、日本語教育学,教育言説分析
     編著書に
    『わたしを語ることばを求めて――表現することへの希望』三省堂,2004(細川英雄との共著)、『変貌する言語教育』くろしお出版,2007(佐々木倫子・細川英雄・砂川裕一・川上郁雄・門倉正美と共編),など。



    【目次】
    はじめに [iii-vi]
    目次 [vii-xi]

    第1章 なぜ戦後日本語教育学のナショナリズムを問うのか
    1 ナショナリズムという信仰 002
    2 国民国家の成立と言語 004
    2.1 国民国家と言語....15
    2.2 日本と日本語
    2.3 言語ナショナリズムによる統一と排除
    3 日本語教育と日本語ナショナリズム 011
    3.1 日本語ナショナリズムを揺るがす日本語教育
    3.2 日本語普及の論理
    3.3 日本語普及に期待された役割
    3.4 帝国主義体制における日本語普及の位置づけ
    4 日本語教育史研究の歴史観 023
    5 本書の研究方法および目的 029
    5.1 方法:教育言説分析
    5.2 時期:戦後60年間
    5.3 対象:日本語教育学
    5.4 論点:ナショナリズムとの関係

    第2章 思考様式言説の変遷
    1 なぜ思考様式言説なのか 048
    1.1 日本への包摂
    1.2 ナショナリズムの二重の原理
    1.3 自明の正しさ
    1.4 戦前・戦中との連続性・断絶
    1.5 言語学とナショナリズム

    2 研究目的 058

    3 量的分析による時期区分 060
    3.1 対象および方法
      3.1.1 記述単位の抽出対象
      3.1.2 記述単位の抽出:「日本人の思考様式」
      3.1.3 記述単位の分類カテゴリー
    3.2 カテゴリーによる分類結果
      3.2.1 分類結果
      3.2.2 時期区分

    第3章 第1期「日本語=日本人の思考様式論」前史:敗戦〜1970年代初め 

    1 質的分析の視点と対象 072
    1.1 分析の視点
    1.2.分析の対象

    2 第1期)内の時期区分 074
    3 「日本語-日本人の思考様式」の潜在化:
    敗戦〜1950年代初め 075
    3.1 敗戦後の日本語教育
    3.2 戦中と戦後の連続性
    3.3 占領期の思考様式言説
    3.4 占領期の日本語教育実践
    3.5 小括

    4 母語・日本語の思考様式への言及:1950年代半ば〜60年代前半 089
    4.1日本語の思考様式
    4.2 母語の思考様式
    4.3 変わるべき日本語=日本人
    4.4 小括

    5 母語・日本語の思考様式の研究開始:
    1960年代後半~70年代初め 099
    5.1 母語・日本語の思考様式の実証研究:日本語教育学の動き 099
      5.1.1 母語の思考様式の干渉
      5.1.2 日本語の思考様式研究
    5.2 日本人の思考様式から説明される日本語:日本語学の動き 106
      5.2.1 参酌されなければならない日本人の思考様式
      5.2.2 日本人の思考様式を暗示する日本語

    第4章 第II期「日本語=日本人の思考様式」
    による包摂:1970年代半ば〜80年代前半 111
    1 外国語と民族・国民の思考様式 112
    1.1 言語と文化,言語と思考様式の関係についての論調 112
    1.2 第2言語教育における民族・国民の思考様式 114
      1.2.1 理解させたい民族の思考様式
      1.2.2 外国語学習=外国的な思考様式の学習
    1.3 アメリカ語が制約する学習者の思考様式 119

    2 「日本語=日本人の思考様式」の教育・学習 123
    2.1 教育・学習内容としての日本人の思考様式
    2.2 日本語習得の必要条件としての日本人の思考様式
      2.2.1 日本人の思考様式による洗脳とその困難
      2.2.2 日本語習得に不可欠な日本人の思考様式の植えつけ
      2.2.3 日本語習得を困難にさせる日本人の思考様式
      2.2.4 戦中の言語ナショナリズムの復活 135
    2.3 「日本精神」批判 137
    3 小括 140


    第5章 第III期「日本人の思考様式」理解がもたらす包摂と差異化:1980年代後半〜2000年代前半 
    1 日本に対処・適応するために 146
    2 交流・体験から理解する日本人の考え方 150
    2.1 多様性の一つとしての日本人の考え方
    2.2 実践報告概要
    2.3日本人の考え方とは何か
    2.4 真正さを獲得する日本人の考え方
    2.5 交流・体験から発見するという方法
    2.6 異質性・多様性の客観的・相対的理解

    3 学習者中心 162
    3.1 多様性・異質性の理解と学習者中心との接点
    3.2 日本語教育における学習者中心の位置
    3.3 異文化性の重視
    3.4 母国文化/日本文化の異質性

    4 異質性・多様性の理解という名の排除 168

    5 日本人の思考様式による洗脳言説の残存または回帰 172

    6 小括 175

    第6章 戦後日本語教育学とナショナリズム
    1 思考様式言説の変遷 180

    1.1 戦前・戦中の「日本語= 日本精神論」との連続性と断絶 180
    1.2 ナショナリズムに規定された日本語教育学の理念 183
    1.3 ナショナリズムに亀裂をもたらす日本語教育学の理念 185

    2 戦後日本語教育学は何をめざしてきたのか:結びにかえて 188
    2.1 戦後日本語教育学の教育目標
    2.2 無自覚な日本への包摂
    2.3 自覚的な日本への包摂
    2.4 自覚的な日本からの差異化
    2.5 無自覚な日本からの差異化/日本への包摂
    2.6 包摂/差異化言説が共有する問題点

    おわりに(2011年11月1日 牲川 波都季) [201-206]
    引用文献一覧 [207-218]
    卷末資料 [219-221]
    索引 [223-227]
    著者紹介 [228]

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