幻談水族巻—いちばん近くにある異世界の住人たち

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875025436

作品紹介・あらすじ

神話の時代から、日本人の想像力や畏怖を呼び起こしてきた水棲の生き物たち。物語や日記・随筆など、さまざまな形で今に伝わる逸話や奇譚を精選。異様な姿形にぞっとしたり、その振舞いに翻弄される人の有りさまを笑ったり…くろぐろとした水底に潜む不思議をすくい上げる。

感想・レビュー・書評

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  •  大坂の川の水がことごとく赤く染まって、その水で米を炊くと飯も赤くなった。虫眼鏡で確かめると、水が赤く見えたのは、無数の小蟹がいたせいだった。原因はわからない。

     ……といったような、リアリティのある話から、鱶に食われた娘の半身に父親が針を通して、餌にして、食った鱶に復讐する話などの、ダイナミックなもの。
     それから、スッポンの骨まで食べたら、身体中からスッポンの骨が湧き出て苦しみもだえて死ぬ話。三本足の亀の煮汁を飲むと、身体が水になって溶けて死ぬ話。結構えげつないのもある。
     川に毒を流して漁をすることの逸話がいくつかあり、毒流し漁があるにはあるのだけれども、色々と注意しなければならないということが、川の神の怒りという表現で伝えられている。そこも興味深かった。

     フリガナが多く、丁寧に作られた一冊だと思う。いわゆる、怪異入門としてはバッチリだと思う。

  • 水中に住む生き物(おもに魚介類)にまつわる逸話を、古事記や日本書紀、江戸時代の随筆などから網羅した事典風の1冊。それなりに面白かった半面、紹介されている逸話が玉石混交というか、興味深いものと「で?」というものがあり一貫性がないのは少し気になった。事典風だから仕方ないのかもしれないけど、ただただ抜粋の羅列に終わっているので少々食い足りない気持ち。も少しテーマを持って掘り下げてたほうが面白かったかも。

    カメやウナギなど、伝説の多い生き物は面白かった。どうでもいいけど鰻というと、お笑い芸人の銀シャリの鰻くん(本名)が、以前バラエティ番組で、鰻家では鰻を食べると死ぬと伝えられているので鰻は絶対に食べないと言ってたことを思い出す(笑)あと個人的希望だけど、水に住む生き物なら河童や人魚もいれてほしかったなー。図版ももっと多いと良かった。

  • 古代から近世まで、魚類に関するちょっと不思議な話を現代語訳で収録する。巻末に出典リストあり。図版多数。造本も楽しい。

  • 9月14日新着図書:【古事記をはじめとした古典から、水にゆかりの深い生き物たちの不思議な物語を精選しての現代語訳。酒に酔う鯛など、妖しい物語が詰まった玉手箱のような本です。】
    タイトル:幻談水族卷 : いちばん近くにある異世界の住人たち
    請求記号:910:Fu
    URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28203664

  • 表紙に惹かれて手に取りました。
    生物の名前の後に「覚書」として特徴等を、その後に様々な文書から選んだ生き物にまつわる出来事が載っていました。
    「思惑違い」として漁夫から買い取り放生した鯉に恨まれて具合を悪くした僧の話が印象に残りました。助けて恨まれるとは…。

  • 山芋が鰻になるってどういう発想で出来た話なんだろう。本当ならいくらでも山芋買ってくるのにw

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著者プロフィール

大阪府吹田市生まれ。
京都大学法学部卒。京都大学大学院法学研究科修了。法学修士。上方文化評論家。四條畷学園大学 看護学部 客員教授。剣道2段。
上方を中心とする日本の歴史・文化・芸能に関する講演を国内外の各地で行うとともに、書籍を(本書を含め)通算30冊刊行している。
主な著書:『説話をつれて京都古典漫歩』京都書房 2013、『説話と奇談でめぐる奈良』朱鷺書房 2019、『鬼・雷神・陰陽師』PHP研究所 2004、『増補版 上方学』朝日新聞出版 2012、『古典とあそぼう(全3巻)』子どもの未来社 2009など。

「2020年 『現代語訳近江の説話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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