- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784875252016
作品紹介・あらすじ
線形代数をわかりやすく解説。量子力学への応用を視野に入れた、理系学生の必読の書。
感想・レビュー・書評
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概念や意味を掴んだり,計算の手順を分かりやすく書いています。文系学生にも勧められそう。
行列の対角化から固有方程式に関する記述は非常に簡潔で秀逸!
ただ,内積の意味として飛行機とジェット気流の相互作用で説明している (pp.38-39) が,これらの速度が垂直関係にある時,内積は0だから「飛行機の飛ぶ速さにジェット気流は影響を与えない」と述べているが,これは不正確だと思います。「水平成分に限る」という条件が要ります。
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ただし,自然現象を解析した結果こういう規則性が得られるということは経験的に分かっているが,肝心の,なぜベクトル積のような変な関係になるかは誰にも説明できていない。howが分かってもwhyが分からないというのは,自然科学の宿命であるが,もし説明できたら大変な成果である。(p.46)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表紙はダサいですが、真面目で非常にわかりやすい線形代数の自習書です。
線形代数の話は一次変換、固有値、固有ベクトルあたりまでで、残りは量子力学と線形代数の関係についてページが割かれています。
類書に比べて文章量が豊富で非常にわかりやすく(逆に冗長と感じる方もいるかもしれないが)、実際に講義を受けているような感覚になる。
行列式の計算のように、通常であれば省かれてしまう途中計算も、ほぼ省くことなく書かれており非常に初学者に優しい作りになっていると思う。
最後の最後で、ベクトル解析の回転(rot)と行列式の関係について補足があるのだけど、回転の物理的な意味とイメージがかなりわかりやすく説明されていて、感動した。特に回転に出てくるマイナス項の意味の説明はベクトル解析の本でもなかなか見られるものではないと思う。
著者は同じシリーズの「なるほどベクトル解析」も出しているので読んでみたくなった。
線形代数を網羅するような本ではないですが、重要な項目に絞って、かつ物理に関連するように説明されているので、数学科の人ではなく物理系の人におすすめできると思います。