- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877190941
感想・レビュー・書評
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昭和24年生前後生まれの漫画家が活躍した
少女漫画の黄金時代と呼ばれた時代の作品の
セリフを通して、その魅力を探っている。
少女漫画の黄金時代。
マーガレット、少女フレンド、りぼん、なかよしといった少女漫画雑誌の全盛期。
読者は皆、ものすごい勢いで物語にのめりこんでいたので、その当時の少女漫画ファンなら、
もれなく記憶に残っていると思われるセリフが満載。
今も根強いファンに支持されていて、
話題になることもある、
池田理代子の「ベルサイユのばら」と、
山本美鈴の「エースをねらえ」は、
当然だと思うけど、
一条ゆかりの「デザイナー」や
摩夜峰央の「パタリロ」のセリフまで、
何故か覚えていたのには驚いた。
自分のことながら当時の熱中ぶりは、
かなりのものだったと感心した。
少女漫画の黄金時代を知る世代として、
著者の少女漫画への思いに共感。
また講談社系、集英社系の読者の違い、
それぞれの読者の価値観の分析が
妙に納得できてしまって面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
書かれた頃が沈滞期ってこともあって流石に鮮度はないか.ただ,この本を単なる懐漫懐古本と読み過ごしにさせぬところは,<blockquote>"従来の漫画評論家は/リアルタイムの雑誌経験でなく,単行本のみから評論を/個々の漫画/作品論として解説するならば,それで十分/しかし,少女漫画の流れを踏まえるなら,作品単独でなく,雑誌全体の空気も押さえておく必要" </blockquote>というあたり.ついでにいうなら,その時代の空気もか.
これは漫画だけじゃなく,美術作品でも音楽でも同様で.同時代,その周りに何があったかを外して,作品単体で論じてしまうと,しばしば非常に重要なものが抜け落ちることがある.その抜け落ちたものは作品の価値の全てではないにせよ,けっこう大きい部分を占めると私は思うのだ. -
光栄(1994/5/1初版)
○少女漫画だった頃
かつての少女漫画の魅力とは
現在の少女漫画と少女たち
○スポ根漫画のように見えた『エースをねらえ!』が始まりだった
○池田理代子によって、私たちは大河ドラマの気持ちよさを知ってしまった
○少女漫画といえば同性愛という時代が来た
○萩尾望都の真骨頂は少年愛ではなく正統派ドラマにあった
○まだ「オリーブ」もない時代、「りぼん」は単なる漫画雑誌じゃなかった
○「マーガレット」時代の木原としえと土田よしこの影響は実は根深かった
○「小学生からOLまで」読んでいた「別冊マーガレット」を支えていた
作家たちは白泉社と去っていった
○講談社の読者は「漫画はしょせん漫画」と
割り切ることができたから幸せだった
○吉田秋生は女の肉体を少女の言葉で表現した作家だったが、
後継者がいなかった
○そして少女漫画の後継者たちは少女雑誌からはばたいていった
○少女漫画がなくなってしまったので、「やおい」が受けるのだ