- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877282240
作品紹介・あらすじ
いま『歎異抄』の心を現代に問う平成人必読の書!人生は苦しみと絶望の連続だ。地獄は今ここにある。その覚悟が定まったとき、真の希望と生きる勇気が訪れてくる。ブッダも親鸞も究極のマイナス思考から出発した。五木寛之がはじめて赤裸々に吐露する衝撃の人間論。
感想・レビュー・書評
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学生時代に憧れた人でしたが、お互いに年をとりました…
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人はみな大河の一滴
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資本主義が憂いを挙げている「心の内戦」時代において、人間が本来持っている感情や心、気と言った、科学的信仰では割り切れない領域に今一度深く目を向ける重要性を説く作品。病院に行くことで病気を「発見する」ことの疑問、酒鬼薔薇を生み出した「透明な存在である自分」、自己の生命の重さが感じられない時代、死を覆い隠す時代と社会の中で、人間の悲しいという感情に目を向け直し、それに正面から向き合うことの必要性を問う。阪神淡路大震災、オウム事件、少年犯罪、国際テロ、分断、過酷な時代に入っていく中で、人間の在り方を問い直す作品。
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帯表
もう覚悟をきめるしかない。
NHKラジオ深夜便で爆発的反響のトークエッセイも収録
帯背
真の希望と生きる力を求めて衝撃の告白的メッセージ
帯裏
瀬戸内寂聴〈作家〉
五木さんのエッセイの尽きない魅力は、深い愛と真実の本音を、心の涙をインクにして書き示してくれていることにある。
心身の傷ついた人が、どれだけこの一冊で、癒やされることだろうか。
多田富雄〈免疫学者〉
生命の奥底にある不安や怖れまで降りて行って、五木さんは身体の声を聞いてきた。
その声は危機の時代を生きる勇気を与える。
山田詠美〈作家〉
困難に巻き込まれた自分を見失いそうになる時、この本に出会えたことに感謝し、たかが一滴の自分をいつくしみたい。
周防正行〈映画監督〉
あるがままにあることを、肯定もせず、否定もせず、あるがままに受け入れてみる。
そうすることで、まるで違う自分が見えてくることを『大河の一滴』は教えてくれた。
見返し
私はこれまでに二度、自殺を考えたことがある。
最初は中学二年生のときで、二度目は作家としてはたらきはじめたあとのことだった。
だが、現在、私はこうして生きている。
人間の一生とは本来、苦しみの連続なのではあるまいか。
人は生きていくなかで耐えがたい苦しみや、思いがけない不幸に見舞われることがしばしばあるものだ。
それは避けようがない。
憲法で幸福に暮らす権利と健康な生活をうたっているのに、なぜ?と腹を立てたところで仕方がない。
いまこそ私たちは、究極のマイナス思考から出発すべきではないか。
まず、これまでの人生観を根底からひっくり返し、「人が生きるということは苦しみの連続なのだ」と覚悟するところから出直す必要がある。
私はそう思うことで「こころ萎え」た日々からかろうじて立ち直ってきた。
ー「人はみな大河の一滴」本分よりー
人はみな大河の一滴
滄浪の水が濁るとき
反常識のすすめ
ラジオ深夜一夜物語
応仁の乱からのメッセージ
あとがき -
確かに、大切な人が亡くなった時、最低の出来事が起きた時人は最高のパフォーマンスを発揮する事がある。大河の一滴というのは自分自身が自分らしくいられる魔法の言葉だと思う。焦らず、驕らず、自分らしく、必ず訪れる死を意識して、生きていきたい。
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コロナ禍で再注目されている本、とのことで読んでみた。
平成10年刊行なので、地下鉄サリン事件や、酒鬼薔薇事件など当時のセンセーショナルな事件に言及されているものの、ブッダや仏教の教えなど、普遍的な教えを語っている。
筆者は戦後満州からの引き揚げを経験するなど、波乱に満ちた体験をしており、たくさんの経験から導き出された考えが述べられている。
それに対してまだまだ私は未熟であり、理解できないこともたくさん書いてあった。
10年後、再読したらきっとまた違った印象をもつと思う。
「人はみな大河の一滴」とは、川が身近なものであった筆者ならではの言葉であろう。
私がそのような境地に達するまで何年かかるか楽しみでもある。
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人を愛しても、その人に期待してはいけない。
期待していないからこそ、その人に良い部分に触れた時に干天の慈雨となり、喜びが増す。
という一節が心に響いた。 -
2020年5月9日「世界一受けたい授業」で紹介
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB00085786 -
もっと人間らしく。
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話題本ということで初五木さん。悲観的な視点に立って物事を眺めれば、どんな状況でもそれほど悪くないと思える。自分中心で考えると一大事でも、宇宙や地球や世界や人類のスケールで考えれば、タイトルの通り「大河の一滴」ということになる。