- Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877289409
感想・レビュー・書評
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弟の死の謎を追い、地図にない閉ざされた山村に辿り着き、殺人事件に巻き込まれる主人公。閉鎖された村社会の独特の雰囲気がよく出ていて、追い詰められる緊迫感もあり、物語そのものを楽しめました。主人公といっしょに村の謎、弟の謎を追いながら、もやもやした感覚に包まれるも、最後に積み重ねた伏線を一気に紐解き、もやもやを吹き飛ばす爽快感はすばらしい。
村の謎は、たいへんスマートに紐解かれ満足。鬼子や五行思想といった村人の信仰までもがしっかりと謎解きに機能していたことに驚く。
弟の謎については騙された感が強いが、注意深く読んでいればなるほどなぁと納得できる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近のミステリに慣れるとオチは少し弱いと感じたが十分に楽しめた。
なりより全体的に流れる不穏な空気感がいい。本作はクローズドケースものといっていいと思うが、こうした作り方もあるんだなあと感心した。 -
メルカトル鮎シリーズ長編。今作も相変わらず救いようがねぇなぁ!違和感には早々に気付いたので「おそらくこれがトリックの肝だろうなぁ」という事柄を起点にして半分ぐらいは察せられた。しかし最後にメルカトル鮎が明かした事実までは気付けず。しかしこういう物語の構成は後の「隻眼の少女」に受け継がれていることがよくわかる。しかしほんと救いようがない話だよ…。
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クライマックスの美しさと演出の「鮮やかさ」では一番のミステリ。
視覚的にこんなに訴えてくる本も珍しいなあ。
「殺人」の謎、閉鎖された「村」の謎。散らばる多くの仕掛け。そして麻耶雄嵩らしい終焉。 -
メルカトルシリーズでは珍しく、時代小説のような雰囲気を感じさせる話。そしてもう一つ珍しいのは、視点が主人公一人に定まらないということ。……とはいえ、終盤のアレを知ってしまうとな。あの子の視点はなんだったんだ?と頭がこんがらがりましたよ。もう一回読み直そう。
しかし一番の見所は、やはりあの神出鬼没の銘探偵だろう。あのメルがなぁ……と思うと、なんだか物悲しい気持ちになった。 -
長編のメルカトルと短編のメルカトルは別人ではないか、と改めて思った。と言うか、長編の方がフィクションっぽさ全開。名前も難解だし。
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地図にも載らない山村で起こった連続殺人を村を訪れた旅人が解決して行く話。厳密にはメルカトル鮎が解決するんだけども。最後まで勘違いさせる様な叙述トリックは、ともすると意味不明になるので、途中から読み直しが必要。
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メルカトル鮎シリーズでは一番好き。
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図。
「珂允が大鏡の前で長い推理を話し終えた後から」がこの小説の本番。
このカタルシス、読後の喪失感は麻耶以外の作家では得られない。
脳味噌がキューッと締まっていく感じというか…。
カタストロフィって単語がよく合う。
毎回毎回麻耶雄嵩の小説は裏切らない。
メルは本当に長編には向かないなぁw長編では良いところにちょろちょろっと出てくる。
橘花のミスリードは、櫻花が弟を殺したシーンで頭に引っ掛かってたけど、気付けなかった…くやしい。
再読したらまた違った感想を抱くのかもしれない。