- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877582579
作品紹介・あらすじ
希望を持つよりはいいだろう。「単純に善意だけではダメですね。人は常に善意だけで生きているわけではないから」相反する感情、矛盾するものの同居。この人間のおかしさは、芝居にしてみるとよくわかる。
感想・レビュー・書評
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役者という職業が魅力的だと改めて感じた
素敵な内容だった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
NHKの「課外授業ようこそ先輩」のダイジェスト版なのですが、柄本明さんが小学生に向かってするのは、クラスの各班で「絶望」を演劇にしてみようという試み。
当然、「絶望」というと死ぬことだったり、失恋だったりと、いわゆる「絶望」というテーマを早く消化したい(そして心情的に楽になりたい)みたいなところがあるのだけれども、その前段階として、あまり今の日本では本当の意味で「絶望」することはないのだろうという壁にぶち当たる。
脚本をこしらえる前に街の人や家族に「絶望」について小学生たちがアンケートを取るんだけれども、実はたいていの悪いことというのは、考えようによっては十分回避できるのだ、ということに気付く。
本当は回避できるくるしみや悩みは絶望ではないようにアタシなぞ思うんだけど、「望みの無さ」というものは子供たちには実感できないのだからしかたがない。そういう意味では、一番ヴィヴィッドな「絶望」は死しかないのかしらん。授業で手始めに「ロミオとジュリエット」をやらせるんだけど、あれは絶望よね。親と親とは敵同士。この世ではどうしても一緒になれないんだこんなに大好きなのに。じゃあ、一緒に死のう。ほら、ここまでくれば「絶望」なのです。死ぬしかない状況が、絶望だといえるかもしれない。
でも「死ぬしかない」というのは、じつはそれだけ自分の力ではどうしようもない壁があるので、息苦しくてどうにもしようがない、ということでね。
面白いのは、やはり今の日本の子供たちにとっての「絶望」の像の部分かなぁ、と思うのです。ただ、柄本さん本人は、もっと別のところで面白がっていて、それはそれでああ、なるほどなぁと思うのです。
その辺は各自で読んでみると、いいかも。
(めずらしくレビューっぽいな) -
父親が大好きだった『柄本明さん』
バラエティーや役者など、テレビで見ることはあったけど、1人の人として何を考え何を思っているのか、その一端を知ることができました。
子どもとの授業を通して、「絶望」など、一見マイナスな言葉から広がっていくワールドは考えさせられました。 -
柄本さんのお芝居への姿勢が垣間見える。
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何度か稽古でお会いしましたが、子供相手でも同じことを言われてたのがこれを読んでびっくり