- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784878937538
作品紹介・あらすじ
「解剖=人の身体を切って調べること」を高らかに謳いあげて『解体新書』は上梓された。蘭医とは即ち「切る医者」であり、江戸の人々は死体を切り、生身の人間を切る「切る医術」へのスプラッタ・ホラーじみた好奇心と怖れを隠さない。「全体として生きて在ること」を捉えようとする日本の知と、「切って中身をさらし、くまなく光をあて」ようとするヨーロッパ近代知の出会い。「解剖」から見た気鋭の江戸文化論。
感想・レビュー・書評
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めちゃ面白かった
図版も多いし、思ったよりテンポよく読めた!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1116夜
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もともと日本には「体を開ける」趣味なんてなかった。ただそこに存在すること、その空気感を愛でていた日本人。茶碗はひっくりかえしたり割ったりするものではなく、まして汀の千鳥も解剖されるにおよばない。対して、蘭学/解剖学を日本に注入したオランダには、「内部へ」という意識があり、絵画にもあらわれるように静物画の中の果物は皮をむかれたり家の窓は開かれたりした。キリスト教のなかでは(男性の)身体というものは神の似姿らしく、カラダを知ることは神を知ることと同じ「神の探求」からはじまった。らしい。
開口部も(チャックも?)ないニンゲンを「開ける」ための道具が必要と、話はハサミにまで及ぶ。
でも最終的にはやはり日本人は膜をかける。
北斎の西瓜図、西瓜の切り口には晒が覆われている。という話。