「非定型うつ病」がわかる本: 誤解されやすい新しい心の病

制作 : 福西 勇夫 
  • 法研
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879547873

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  • 一定期間好きなことにも心を動かされない状態が続く「うつ」を定型うつ、楽しい予定や好きなことになら積極的になれるが仕事など気が向かないことには限界を感じてしまう「うつ」を非定型うつと定義し、実際の例を挙げながら両者の違いを解説。

    真面目で几帳面な性格の人がかかりやすく(中高年に特に多い)通常3ヶ月程度の休養とお薬で元の状態に近づくとされる定型うつに比べ、若い世代や女性に多いとされる非定型うつはお薬が効きづらく、感情の波が不安定な状態が長引きやすい。

    定型うつは朝方~午前中に気分が落ち込みやすく、非定型うつは夕方~夜にかけて「寂しい感じ」に至りやすい。また定型うつは自責的であるのに比べ、非定型うつは他責的傾向が強いともある。自ら診断書を提出し、職場へ休職の手続きを求めるのも非定型うつにありがち。定型うつの患者さんへの励まし「頑張れ」は禁句であるが(彼らはもう頑張る余地のないところまで追い詰められている)、非定型うつの場合は引っ張り上げて欲しいと感じている患者さんが多いので、少し背中を押す程度の励ましは効果的である。

    覚醒リズムを取り戻すことが大事なので、ずるずる何時間も寝かせない・朝は決まった時間に起こす・適度の有酸素運動(散歩など)、光療法もあるくらいなので季候の良いときはもちろん、日中引きこもらせないこと。仕事に行くことが良いリズムになるので、休職期間は設けない方が良い。リズムを取り戻すまでお昼寝は絶対させない方が良い。

    ゲームやネットに依存しがちだが、リズムを狂わせ、引きこもる要因になりやすいのでさせない方が良い。
    認知行動療法になるので、日記や日々の気分の移り変わりなど客観視して記録を付けさせることは効果的。

    ほめる・後押しする・傷つきやすいので配慮する・拒絶されたと感じさせない・希死念慮に注意・その日の課題を達成させる・過食や依存症に注意・気長に見守る・家の外での約束事をさせ、守らせる・話をよく聞く・昼寝させない・有酸素運動させる・リラクゼーションさせる

    定型うつよりも非定型うつはわがまま病に見えがちだが、本人は苦しんでいるので理解してあげること。

    10人にひとりが「うつ」傾向と言われるほど身近な病気になってきたうつ。明るく活動的な人でもかかることはあるし、ホルモンバランスの変化や職場の人間関係など、ありふれたきっかけで発症することもある。

    正しく理解しておくことが大切だと思う。

  • 鬱にも種類があると聞いて、どういうものなのか知りたくなって読んでみました。
    ただ、この本で言う定型うつ(一般的に広く知られているうつ)のことも詳しく知らなかったので、否定型うつと比較してそちらの説明もあったが助かりました。
    病気も名前を知っているだけでは分からないことがたくさんあるみたいです。そして、自分の固定観念は取っ払わないと患者さんとは向き合えないということも分かりました。
    うつ病で苦しんでいる患者さんよりも、側で支える家族や恋人、友人に是非読んでもらいたいと思いました。
    正体の分からないものと向き合うのはもどかしくて、イライラしてしまうことがあると思います。私が実際そうです。
    でも、どんなものなのか知るだけで、なーんだそういう病気だから仕方ないんだ!と思えて、今までよりも楽に受け止められるようになりました。

  • うつ病を理解している人が少ないだけでなく、「うつ病の人にはがんばってといっていけない」と思っている人も多くいると思う。
    私もそうだった。
    素人が知ったかぶりするのは間違いだと、改めて思い知らされた。

  • 4人の著者によって書かれた本であり、全体を通した統一的な内容が書かれているわけではない。1~3章はオーソドックスな内容だが4、5章は著者の臨床の体験が日記のようにつらつらと書かれており少し戸惑った。
    一応「彼ら(非定型うつ病患者)は本当に苦しんでいる」と書かれてはいるが、実際は非定型うつ病に対するネガティブな物言いが多く、これを読んだ当事者はあまりよい気持ちにはならないだろうと感じた。登場する患者のエピソードもネガティブなものが多い。

  • 周囲から理解されづらい「非定型うつ病」の本人のつらさ、回復の方法、周囲がどのように関わったら良いかが記載されている。なかなかわかりやすい本であったが、章によっては、医師による独断的と感ぜられる記載もあった。

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