鹿笛

著者 :
  • 新宿書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880084398

作品紹介・あらすじ

ビィー。雌鹿の鳴き声に似せた笛。この音に誘われるのは、雄鹿だけではない。笛を吹く猟師が出会ったものは…。風と樹々のざわめき、生き物たちの匂い、夜の光と影が、妖しい森の物語をつむぐ。表題作『鹿笛』ほか、精気あふれる山の幻想譚六編。

感想・レビュー・書評

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  • 宇江利勝、恥ずかしながら、全く知らなかった作家である。今回初読だが凄い小説に出会ってしまった。怖がり故、怪奇小説ホラー小説の類はあまり好きではない。なのに、怪異譚とか怪談みたいなのをちょいちょい聴きたがる悪い習性をもつ俺。そんな俺の需要にみったりびったり当てはまる作品集。

    舞台は紀州の山奥、大峰・大高・果無なんかの山系も近い。登場人物は漁師や炭焼き、舟人賦。怪異現象はホラーというより会談であり、読後感はお化け屋敷の爽快感ではなく、山や自然への畏敬に偏る。怖さは浅薄なもんではなく、深く根ざした本能の部分から込み上げてくる、不愉快じゃない怖さと言えばいいか…。

    この本持って山、出来れば紀伊半島の奥深いとこで一晩過ごしてみたい。日が暮れるまで焼酎でもすすりながらこの本読んで、寝袋に潜り込めば、山からもっともっと研ぎ澄まされた何かを感じることができそうである。

    決めた。この作家さん、しばらく追いかけるべし。

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