地域再生と町内会・自治会

  • 自治体研究社
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  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880375861

感想・レビュー・書評

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  • ピックアップと一言:
    ・平成の大合併では分権化という新しい課題が掲げられており、それには地域への信頼と同時に地域の自己責任を問う視線が見え隠れしているのですが、いずれにせよ従来の行政と住民組織との関係について、質の変化が求められていることはまちがいないところです。
    →住民自治組織の担う役割が明確になってきた今、自治会・町内会でも体制の見直しが必要になってきました。

    ・祭りにおける宗教行事の部分を町内の行事から切り離しつつ、地域住民の親交を深める場として自由な雰囲気での親睦・文化行事として維持していくことが必要です。
    →一つひとつの行事を、何のためにするのか、再度見直してみる必要があります。

    ・ごみの集積所の位置をめぐっては、最高裁は、集積所の持ち回り提案を支持し、反対住民のごみ出しを禁止する判断を下しています。
    →隣人とは、共有部分の管理や音やにおいなど、どうしても関わり合って生活していかなければならない以上、協力し合っていく必要はあろうかと思いますが、裁判になる前に良い方法を協議する姿勢を持つことが、お互いに必要だと思います。

    ・「強制加入」「自動加入」と表現され、この組織の前近代的性格として否定的に捉えられてきたのは、加入のあり方よりむしろ運営の問題であるように考えられます。つまりかつて地域社会の運営に実質的に関与できた会員は、土地所有者を基盤にした名望家層に限定されていたのであり、役員・役職はそのような実態を表現していたのです。
    →昔からの名家の人が役員をやっている場合が多くあるが、結局どういう性格の人が役員をやっているかで組織の動きが違ってくる。昔からの名家の人でも、新しい人を受け入れ、自分は大変なところをボランティアで引き受け、地域のために尽くしている方もたくさんいる。

    ・平成の大合併の進展によって行政が遠くなり、地域社会にこれまで以上に多様化した構成員に係わる公的課題の対処が求められている背景のもとで、町内会は様々な市民活動団体やNPO法人と連携して対応する形も生み出されています。
    →地域包括的な自治協議会としては、専門分野を担う各種団体との連携は、よりよいまちづくりのために必要なことですね。

    ・たとえ家族は離散し、職場を失っても、ある地域で生活しているという事実はなくなりません。その意味で、地域でのつながりは最後のセーフティ・ネットとして機能できるものです。町内会が全住民を視野に収めて、各住民がその共同の役割を果たすにふさわしい組織構成にしていくことは、今日の社会状況のなかだからこそ、緊急の課題となっているということができます。
    →「地域でのつながりは最後のセーフティ・ネット」これを大事にしながら、行政と役割分担し、地域づくりを行っていきたいと思います。

    感想等:
    町内会・自治会活動において、問題になりそうな課題を取り上げて、対応の方向性や先進例などを紹介しており、ピンポイントのテーマがあれば是非読んでおきたいところ。
    また、これからの町内会・自治会の担う役割、めざす形を示しており、全国の町内会・自治会の羅針盤となる本だと思う。

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著者プロフィール

名古屋大学名誉教授
1933年愛知県生まれ。1969年から名古屋大学助教授、教授、1997年から愛知学泉大学教授、愛知江南短期大学学長を歴任。専門は社会学。
主要著作 『地域共同管理の社会学』(東信堂、1993年)、『町内会・自治会の新展開』(編著、自治体研究社、1996年)、『地域共同管理の現在』(共編著、東信堂、1998年)、『世界の住民組織――アジアと欧米の国際比較』(編著、自治体研究社、2000年)、『新 自治会・町内会モデル規約――条文と解説』(共著、自治体研究社、2004年)、『改訂新版 新 自治会・町内会モデル規約――条文と解説』(共著、自治体研究社、2016年)

「2017年 『新版 地域分権時代の町内会・自治会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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