- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784880594217
作品紹介・あらすじ
24年間のあいだに書かれた200万語からなる日記は、なぜ文学作品と呼べるのか──。研究者の間で「森の生活」以上の重要作とされ、作者が自身で選んだ日記という表現形態のすべてを邦訳。全12巻で刊行予定。
感想・レビュー・書評
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ヘンリー・ソローの1851年の日記だ。日記だから、日常のいろいろの物への観点が出てくる。なかでも、注目したいのは、リンゴ・野生リンゴについて書かれた部分だ。「リスそして、どうやらウサギがマイルズのところの裏手の窪地で凍ったリンゴを手に入れたのだ。ウサギはリスが落としそのままにしていったのを貪るように食べたようだ。森のあらゆるところから両者の足跡が、リンゴの木のところへ通じている。」森の住人たちを惹きつける魅力にあふれていて、住人たちを結んでいるのがリンゴなのだ。「野生リンゴが今おいしくなってきた。離れたところに立っている木に数個残っているのを見つける。集めるに値しないと農民は考えたのだ。・・・こうしたリンゴはあまりにもこぶが多く、手に負えず、つむじ曲がりのように見えるが、そうではないのだ。こぶの最も激しいのさえ、それを見る者に償ってくれる何かがあるだろう。・・・いくつかの赤いしみがあり、それが遭遇してきた朝と夜を祝福している。出会って来た雲や霧でカビの生えやすかった日々を記念するような、暗く色あせたシミがあるものもある。そして草原のような緑で自然の全体的な顔を映している。太陽の香りをもっているものは、黄色の地面をあらわす。・・・果実のなかでも、最も高貴なのがリンゴである。」リンゴ好きにはたまらない。もう何も言うことはない。ソローは別の素晴らしいエッセイで、「野生リンゴ」論も書いている。
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