談 no.127 自動化のジレンマ

制作 : 公益社団法人たばこ総合研究センター  アルシーヴ社 
  • 水曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880655512

作品紹介・あらすじ

エジンバラ大学でAI(人工知能)と倫理学の関係を研究するシャノン・ヴァローは、2017年の論文「AI and Automation of Wisdom」で、ロボット開発、機械学習、そしてコンピュータによる自動化の進展が、人間の知恵(wisdom)が直面する課題を浮き彫りにしたと論じた。自動化は、人間の専門性や新たな知識を開花させる領域をつくり出したが、同時に、これまで築き上げてきた科学技術の伝統、その土台にある「知恵」を放棄することになるかもしれないと警鐘を鳴らす。

技術革新はイノベーションを促すが、その代償として大量の失業を引き起こす。失業の歴史を紐解くとある一定のパターンが見出せる。失業はより高い技能を必要とする分野の成長によって常に補填されてきたという事実だ。だが、このパターンはAIの出現によって崩壊する。AIは市場における高い技能を用いる分野の労働需要をむしろ圧縮するのである。とりわけ、これまでプログラムするのに困難があると考えられていた仕事が標的になる。クルマの自動運転や文章作成などがそうだ。ディープ・ラーニングの技術が仕事そのものの質を変質させるのである。人間ができる仕事で、コンピュータができない仕事はもはや何もないのである。

真の意味で知恵を必要としない「自動化」。その自動化の巨大な波が今や仕事も人間も飲み込んでしまうのだ。自動化という波濤の先端で、私たちはどこへ向かうのか。

感想・レビュー・書評

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  • 不完全燃焼。
    自動化を考察する際の身近な事例として人工知能や自動運転が取り上げられた。
    技術的な観点に加え、倫理的な観点もセットで検討していく必要性が示されていた。
    正直、まあそうだろうなという印象で、
    新たな示唆を得られた訳ではなかった。
    時間を空けてまた読み直そうと思う。

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著者プロフィール

名古屋大学大学院情報学研究科准教授。
著書に『「人工知能」前夜:コンピュータと脳は似ているか』(青土社 2018)、監訳書に『コンピューティング史:人間は情報をいかに取り扱ってきたか(原著第三版)』(共立出版 2021)他がある。

「2023年 『談 no.127 自動化のジレンマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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