土門拳の格闘

著者 :
  • 成甲書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880861876

作品紹介・あらすじ

土門拳は、大地に確固と根を下ろした凛としたイメージそのままの生き方で昭和写真史の上に巨大な足跡を刻んで悠然と去った。これから描いていく物語は、そうした土門拳の人と写真を心から思慕した数多くのアマチュア写真家たちとの師弟愛のストーリーであり、戦後まもない激動期に刻まれた「リアリズム写真」という写真表現の在り様を明確な一本道にして展開された格闘と交情のドキュメンタリーでもある。

感想・レビュー・書評

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  • 金井清一、杵島隆、田島計一
    「日本名匠伝」「僕に言わせれば十六人全員に共通するのは、彼等の志向するものが、常に単純明快で直感的であるということである。いささかの迷いもない。自分の演ずるところに一分の隙もなく、また油断もなく、ただ一直線にその演ずるところに 往する、その瞬間で彼らの芸が充実するのを僕たちは見ることが出来るのである」

    「俺は三十数年も何をやっていたんだ!」ジャブジャブと、やたらに目頭に湯をかけては顔を洗った。木幡は土門が泣いているように思った。

    「あとは、もう念力だ!」

  • これはとにかく激しさを感じさせる
    ノンフィクションです。
    本当にタイトルどおりの格闘の日々です。
    そう、リアリズムそのものが批判の対象になり
    彼もその批判の矢を浴びることとなりましたし…

    そう、見方によっては
    貧乏人…という批判がつくのです。
    でも写真を見たときには
    私はそうは感じませんでしたが…
    そういう立場だからこそあるエネルギーを感じました。

    その激しさは写真撮影でも
    如実に発揮されます。
    妥協を許さない執念…
    それはある撮影で顕著です。
    その写真は圧倒されるものがありますよ。

    最後の死…
    きっと彼は昏睡状態になったのは
    最後の力を使い果たしてしまったのでしょう。

    もし彼が2010年にいたら…
    きっとこの現状も
    撮影することでしょう。

  • 顔つきも性格からも窺われるが,血圧が高かったんだろうか.イビキが大きいと書いてあるし脳血栓や脳溢血とか.
    しかし若い頃は壮健そのものに見えるが,なぜ徴兵が即日帰郷なんだろう.何か持病でもあったのだろうか.[private]私的メモ:昭和18年秋から奈良の日吉館に長期滞在して仏像を撮っていた.[/private]

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著者プロフィール

おかい てるお
早稲田大学卒業後、朝日新聞社入社。
社会部、東京本社外報部、ソウル支局長、『週刊朝日』副編集長、
『アサヒカメラ』編集長などを歴任。
退社後はジャーナリストとして写真評論の執筆、写真集の編集等を
手掛ける。
『評伝 林忠彦』で日本写真協会年度賞受賞、『土門拳の格闘』で
日本写真協会学芸賞を受賞。
著書等に
『写俳人の誕生』(彩流社、2014年)、
『現代写真家の仕事術 表現のマル秘』(彩流社、2011年)、
『肉声の昭和写真家 12人の巨匠が語る作品と時代 平凡社新書』
(平凡社、2008年)、
『昭和写真劇場』(成甲書房、2008年)、
『土門拳の格闘 リアリズム写真から古寺巡礼への道 』
(成甲書房、2005年)、
『ラクチョウの記憶 写真連想小説』
(海拓舎、2001年)、
『評伝林忠彦 時代の風景』
(朝日新聞社出版局、2000年)、
『瞬間伝説 歴史を刻んだ写真家たち 朝日文庫』
(岡朝日新聞社出版局、1998年・
 旧版 KKベストセラーズ、1994年)、
『稲荷参道 木村仲久写真集 BeeBooks』
(木村仲久著 、岡井耀毅編、光村印刷、1998年)、
『戦後50年横浜再現 二人で写した敗戦ストーリー』
(奥村泰宏・常盤とよ子著、岡井耀毅編、平凡社、1996年)、
『母の初恋』
(清水弘文堂書房、1995年)、
『阪神大震災・瞬間証言』
(岡井耀毅他著、朝日新聞社出版局、1995年)、
『小泉澄男写真集中山道 江戸から京へ・姫街道 』
(小泉澄男著 、岡井耀毅編、日本カメラ社、1995年)、
『映像にみる昭和 社会写評 くもん選書』
(くもん出版、1989年)、
『韓国こころ旅』(名著刊行会、1988年)、
『なぜ撮るか 現代写真家の宿命的モチーフ』
(山と溪谷社、1986年)などがある。



「2020年 『中国革命と写真 黎明期から文革まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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