=====2016/1/10佐藤匠=======
<概要>
会社の設立に関して、
①事前準備②定款の作成認証③登記必要書類の作成提出④同時に税務署等へ提出する書類
の区分に分けて記述されている本。
読むことで、設立にかかる全体の流れを理解できた。
実務で詳細な点を確認しつつ業務を実施することで設立をものにできるようになる。
<評価>
80点
<共有したい内容>
設立にかかる手続を流れを追って説明しているため、
全体のスケジュールに合わせて、何を誰に提出するのかをまとめて理解できる構成になっている。
特に設立未経験者が、会社の設立を実施しようとしても細かな作業に走ってしまい、全体観のない作業となってしまいがちなので、
全体のスケジュールを把握する意味で良い本だと思う。
それ以外にも、印鑑の種類の説明等、なかなか印鑑の意味を知る機会もないため、
設立と合わせて理解できた点もよかった。
<悪いところ>
本自体が約300Pあるため、全体感以外の詳細な記述も多い。
したがって、会社法等の知識がない初心者が読むには、少し重い。
自分自身で考えて、整理しながら読まないと自分がどの作業をまとめているのかが理解できず、
全体感を理解できずに読み終わってしまう可能性もある。
<読むことを勧める人>
設立の業務を1件程度、作業していて全体感はないものの作業のイメージがわく人
※完全な初心者には向かない。
※タイミング:1年目の後半~2年目前半
<自由記述>
私は、当初、定款の認証と登記の実施、税務署への必要資料の届け出等、作業が混同してしまっていたが、
この本を読んで明確に異なる作業であることを理解できた。
◆全体のスケジュール感(設立までに3~4週間程度)
①事前準備
定款の作成に必要となる情報を洗い出す。
②事前に収集した情報をもとに定款を作成する
定款については、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項があり、基本的には、
フォーマットを入手して、不要な箇所を削る方向で実施すれば簡単に作成できる。
※事業目的については、類似の会社のものと比較検討し、必要があれば追記する必要がある。
※絶対的記載事項自体は、記載がないと定款としての効力がそもそもなくなってしまうため、絶対に記載に含める。
※相対的記載事項は、記載がないと会社として決定した事項について、効力が発生しないため、会社として決めたことを記載する。
EX)株式譲渡制限等
③公証役場へ作成した定款を提出し認証を受ける。
④資本金の払い込みを実施する。
※定款の認証日よりも後の日付で払い込む。
※必ず代表発起人の個人用口座に振り込むようにする。複数人いる場合は、振り込んだ際に名前が印字されるようにする。
⑤登記必要書類を作成して法務局へ提出する
※申請日が設立日となるので注意
⑥法務局への登記後、税務署・都税事務所・市区町村宛に設立届出等の必要書類を提出する。
※Ⅰ青色申告の承認申請書・Ⅱ給与支払事務所等の開設届出書・Ⅲ源泉税の納付の特例の承認に関する申請書も合わせて提出する。
※Ⅱについては、提出することで、給与の支払いがなされていることを税務署が把握できるため、源泉税の納付書が届くようになる。
Ⅲを提出することで、源泉税の納付期間を長く設定し、支払いを2回にできる。
上記の通り、設立までにそれなりの時間と作業が発生するため、
余裕をもってスケジュールを相手に伝達して作業を実施する。