- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784882020608
作品紹介・あらすじ
あさま山荘銃撃戦で逮捕され、75年の日本赤軍の在クアラルンプール米国大使館占拠で人質との交換条件として出国した著者が、『十六の墓標』を読んだ返信として書いた本書は、連合赤軍問題への国境をこえた一兵士の貴重な証言である。
感想・レビュー・書評
-
あさま山荘事件、山岳ベース事件の首謀者の一人であり、日本赤軍により奪還されパレスチナに行った著者が、山岳ベースの別の首謀者である永田洋子氏が出版した「十六の墓標」への返信という形で記した本。
パレスチナ解放戦線での戦いを通じて得た知見により、当時を振り返っています。
なるほどと思う部分もあるものの、ややパレスチナの戦いを神聖化しすぎているきらいもあり、またパレスチナのようないやおうなしに銃弾が飛び交う世界での団結を前提として語ることには抵抗を覚えました。
ただ、日本現代史・思想史に残る事件の記憶として、読んでおきたい本です。
これだけ人間とは思えぬ残虐な事件を起こしながらも、思考自体は極めて平凡、むしろ優秀な人間のものであり、それがパレスチナの戦争の世界にしっかりはまってしまうことに恐ろしさを感じます。
「戦う」ことを抽象化してしまった時の人間は怖い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あさま山荘事件で逮捕され、その後に超法規的措置により釈放され日本赤軍としてアラブで活動していた坂東國男氏が、永田洋子氏の「16の墓標」を読んで違和感を感じて手紙を書いた、という趣向の本。
坂東氏の連合赤軍事件の総括、その後の活動を通じて醸成された思想を比較的わかりやすい文体で綴っている。