テイヤ-ル・ド・シャルダン (聖母文庫)

著者 :
  • 聖母の騎士社
5.00
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 5
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882162926

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • イエズス会神父であり、地質学、古生物学者であったティヤール・ド・シャルダンの評伝を読む。

    進化論をしっかり唱えながらも、
    人間は、キリストに向かって進化しているということを言って、
    当時のバチカンから「危険人物」とみなされ出版を禁止されたが、死後、
    第二バチカン公会議の後、正当に評価されることとなる。



    ティヤールは、司祭として、第一次世界大戦に従軍中、
    そこに人類の破滅ではなく、
    全宇宙の生命が戦いを超えて、新しく進化し大いなる未来が創り出されているビジョンを見る。

    心理学者アルフレッドアドラーが、一次大戦に従軍中、
    絶望ではなくて、人類の連帯の可能性と希望を見出していたことをも想起させる。

    また、ルメートルによれば、宇宙も進化しており、
    進化は精神に向かっていくことを信じていた。

    そして、普遍的、宇宙的キリストが精神として最高のものであると。


    地質学者として、中国の砂漠を移動していた彼は、
    祭壇でミサを捧げることができず、
    地球全体を祭壇として、その上に世界の苦しみと働きを捧げてミサをなしていたという。

    ミサは世界を変える働きであり、圧倒的な実在の働きである。

    受肉を通して、全宇宙と全物質が聖化される。

    神の場とは、まさに私自身である、とティヤールは述べる。

    マルクス主義に対しては、徹底的な無神論ではなく宗教的一面を秘めていると考えた。
    ロジェ・ガルディはマルクス主義者でありながらも、ティヤールの『神の場』を読んで、水を得た魚のように大きなくつろぎを感じたと述べ、
    「キリスト教の神は、宇宙生成の神であり、進化の神なので、キリストの神を再発見するのです」と講演会で話す。
    ティヤールは、「共産主義に打ち勝つ唯一の方法は、キリストをあるべき姿で人々に紹介することである」と述べる。


    余談であるが、ビッグバン理論をはじめに唱えたのは、
    司祭であり物理学者でもあったルメートル。


    春日大社の宮司の葉室さんという人も、
    神が人間を造ったのは、自分自身を探し求めさせるためだと言う。

    やはり、宇宙には意志も目的もあって、進化している。
    そして、私たちの存在も神に向かって霊的に進化の途上にある。

    ワクワクするねえ。



全1件中 1 - 1件を表示

竹田誠二の作品

最近本棚に登録した人

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×