名探偵コレクション 2 面の巻: 櫟ファミリーの全事件

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  • 出版芸術社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882932949

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  • 何気に好きな作家な仁木悦子。なんか出てくる探偵役が穏やかというか自分の周りにもいそうなかんじや小学生の男の子が探偵というのがほんわかするから好きなんだよなぁ。


    櫟一家が住むアパートの大家が密室状態で殺害された。大家は不動産や財産を持っており、身内はアパートに住む姪と甥しかいない。この姪と甥に対しても他の店子と同じように家賃を請求しているのだ。姪と甥は葬儀などの準備を行い、気持ちの整理もつかない状態のとき、弁護士がやってきて遺言書があり知らない女に全ての財産を譲ると言い出して…「二つの陰画」

    僕のママは小説家。ある日、アシスタントである加持さんがアパートで殺されてしまった。一緒に住んでいた友達の田川さんは叔母の家にいてアリバイがあったが、僕のママはアリバイがなく、警察が考える動機もあったために警察署に連れて行かれてしまった。ママは犯人ではない。僕は自分でその証拠を集めることにした。「花は夜散る」

    友達と遊びに出かけた先で、子猫2匹を拾ってしまった櫟究介。何軒かの家を周り飼い主を探していたところ最後の家で女性が殺害されているのを見つけてしまう。そして、逃げ出した犯人も目撃したのだ。2人は通報せずに逃げたが、翌日犯人が逮捕された。その犯人は究介が好きな音楽の先生の婚約者だった。「一匹や二匹」


    最初の「二つの陰画」は二転三転して面白かった。もう櫟の奥さまのわくわく感が伝わったわ。旦那さんも好奇心溢れてるから夫婦でいろいろ探って真実や犯人を探したり推理したりしてすごかったなぁ。でも、高利貸しの婆あはいつの時代も殺されしまうのかと思ったし、よくよく読むと殺された大家は「おばあちゃん」という年でもなかった。前にも仁木悦子の話を読んだときに、28歳だったか30歳だったかの女の人に対して、女子高生が「おばさん!」って呼んでたのが違和感あったんだよなぁ。まぁ、今の世でも女子高生にしたら28も30もおばさんか…


    あとの短編は小学生男子が推理する話でほんわかした。ちょっと親目線になるのか「いくら5年生でも危ないでしょ!」と思わずにはいられなかったが、冒険譚と思えばいいのか。しかし、いくら小学生相手でも人様の個人情報をペラペラとしゃべってしまっていいのか。それは古き良き時代ということか。


    仁木悦子の探偵コレクション集。ほんわかして好きだから違うのも読みたい。


    2021.5.19 読了

  • 今となっては珍しい正統派ミステリー

著者プロフィール

1928 - 1986。小説家。ミステリーや童話を手がけ、1957年に長編デビュー作『猫は知っていた』で江戸川乱歩賞を受賞。明快で爽やかな作風で、「日本のクリスティー」と称された。1981年には「赤い猫」で日本推理作家協会賞を受賞。無類の猫好きとして知られる。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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