湯島望は花のようにかわいらしいが、ひどく屈折した少年だった。しかし大病院の息子でもあり、母親が入院して、医者である父親があまり帰ってこず、いつも一人ぼっちという少しかわいそうな事情を抱えた望のことを、どんなに悪いことをしても誰も叱らないし、責めなかった。やり場のない想いをもてあまして、ますます屈折していく望の元に、ある日、父親が同い年のはとこ・大原勇也を連れてきた。
勇也は、悪い望を正直に悪いと言える真っ直ぐな少年で、二人はケンカをしながらも、仲良くなりながら大きくなっていく。
けれど勇也は、中学に上がる時に、「もう遊びに来ない」と言い残し、寮のある清峰中学に行ってしまう。
一人取り残されたようになった望も、三年になって編入するが、勇也はボスと呼ばれる望の知らない人間になっていた。望のこともユシと呼びつける少し軟派な男に変わっていて、望は戸惑う。
そして、ある日、「恋人のふりをしよう」と持ちかけられ、望はそれを不本意ながらも受け入れた。
「ふりでも他に恋人は作らない」という条件で……。
もう一組のカップルである前作よりも、今回の話の方が個人的には、好きです。
普通の幼馴染の気持ちが変わっていくまでを書いた話。
これが男女だったら構わなかったのにも関わらず、男同士だったからどっちも素直に自分の気持ちを伝えられなくて、どんどん話がこじれていく。
結局、大学を卒業することになって、「恋人のふり」をする必要もなくなったことに焦った望が告白して、ハッピーエンド。
けど、個人的には「望を追い詰める」と言った勇也の今後が見てみたいです。どうやら、勇也には隠してる本性があるようなんですが、今回は二人がくっついたところで終わってるので、その本性の出番はなし。
相手のことを好きすぎて、ちょっといっちゃってる人は、かなり好きなので、期待してます!