神々の軍隊: 三島由紀夫、あるいは国際金融資本の闇

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  • 三五館
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883202119

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  • 維新をへて明治になるに従って
    ベニスの商人の如くの金融支配に憧れて我欲に走る人で無しの鳶が
    油揚をさらうように台頭し
    国を乗っ取り天皇を飾りモノにして国民をだまそうとする

    寺子屋ごとの独自の教育方針を庶民が自ら選べていた江戸から
    明治の統制された押し付けの義務教育で
    国民を目暗にして洗脳する教育にすり替えることに成功する

    作者は神々の神話に生きる人々とに対して
    貨幣神話に溺れて我欲に生きる人々描き出す
    更に神風連と言う幕末の思想家林桜園を崇拝する一団がある
    その思想は「神事は本(筋)、人事は末(結果)」を信条とし
    倒幕と言う政治的駆け引きの中で超然と「本」に還ることを説いた
    死する世界に生きる現代人と違って古代人は
    受気比(うけい)によって神々と交流していたと桜園は信じていたし
    それを反映することで古代は平和な暮らしを営んでいたと言う

    現代は知識ともに私心に揺らいだ権力闘争や物質主義の鉄面皮により
    末である結果に頼る生き物になると神々との道は途絶え
    光を見失ってしまった
    桜園は大自然が良き直日神と悪き禍日神の相対で成り立っているとし
    そのありようがこの世に反映されると同時に
    この世のありようもあの世に影響する相互通行だともいう
    相互作用できるとすればこの世の我々が選ぶ生き方によって
    あの世からの作用もそれに追従して来ると言うことになる
    従って我々がまず自分の姿勢を正す事で
    この世を楽園にすることができると言う事なのだろう

    だが受気比は違う
    この世での善行がこの世で満たされなくても
    あの世で満たされると言う契約であり上下関係の依存である
    太陽(意識)よりも陰である月(無意識)のあの世の原理の方が
    人間界への影響が強いという
    それを明治政府は陰暦廃止・廃刀令・断髪令と天皇性を踏みにじった

    226事件に三島由紀夫と楯の会の自衛隊突入と切腹による自決を
    重ね合わせて話が始まる
    ヒヨッテいる天皇に本気になってもらいたい青年将校の昭和維新思想に
    共感する秩父宮は天皇と激突を繰り返したと言う
    三島のバルコニーからの演説も自衛官の心には届かないどころか
    別世界である
    226事件の将校たちも天皇に諭される始末で
    ハシゴを外された状態のまま頓挫する

    共に世界を貨幣神話の陰で操る国際金融資本の闇に破れたのだ
    分かっていながらも思い余ってやらざるを得なかった行動なのだろう

    どちらも惜しい人材だけれども
    彼らと同じように生真面目故に神でなくなった神に依存してしまう事もなく
    事実を教師として自らを学び淡々と自律することで
    貨幣神話に心を奪われる事もなく
    また野心家と同じように意識の空洞化に落ちて
    共倒れの戦いを挑む事もなくなるはずだ

  • 神田昌典さんお薦めだったので読んでみた。オカルトチックな内容。巻末の資料の膨大さに驚いた。独自の考察が興味深い。

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