中国文化強国宣言批判: 胡錦濤政権の落日

著者 : 高井潔司

• 蒼蒼社 (2011年12月1日発売)

感想・レビュー・書評

[metapyさんの感想 · 2011年12月26日]

目　次

序　章　なぜ「文化強国」宣言批判となったのか

第一部　中国の政治とメディア

　第一章　頻発する「群体性事件」
　　第一節　「群体性事件」をどう見るか
　　第二節　二つのタイプの集団抗議事件
　　第三節　集団抗議事件の政治的枠組み ―― 反体制運動ではない

　第二章　和諧社会の建設提唱と挫折
　　第一節　国家目標に加わった「和諧」社会建設
　　第二節　和諧社会建設論の挫折
　　第三節　挫折から「潰敗」へ？
　
　第三章　萎縮する「中間層」
　　第一節　「階層分化」公表の衝撃
　　第二節　中間層は拡大しているのか？
　　第三節　中間層は顧みられていない
　
　第四章　「権貴階層」の誕生と拡大
　　第一節　「権貴」階層をめぐる報道のなぞ
　　第二節　中間層形成より顕著な富豪の形成
　　第三節　体制派も認める「挑戦」

　第五章　求められる改革の断行
　　第一節　やはり党指導者の英断がカギ
　　第二節　古いシステムの欠陥
　　第三節　まず平等な利益の表明システムの確保を
　　第四節　通化鋼鉄会社社長殺害事件――利益表明メカニズム欠落の悲劇
　　第五節「公民社会」建設の提言
　　第六節　ある地方都市での体験と調査データ

第二部　強化されるメディア規制―― 停滞する伝統メディア

　第一章　重慶〝モデル〞
　　第一節　機関紙化する都市報
　　第二節　『重慶時報』誤報事件の顛末
　　第三節　かみ合わない先生たちとの懇談

　第二章　大衆メディアの夭折
　　第一節　市場経済の浸透で主役に躍り出た大衆メディア
　　第二節　伸び悩む二一世紀
　　第三節　裏切られた期待
　　第四節　突破できない突発事件報道の規制
　　第五節　「世論監督」報道の盛衰
　　第六節　苦闘する調査報道記者

第三部　中国のいびつなインターネット空間

　第一章　発言する大衆の誕生
　　第一節　伝統・新興メディアと政治体制
　　第二節　伝統メディアに取って代わる新興メディア？

　第二章　盛んになる世論情況調査
　　第一節　「輿情青書」の発刊
　　第二節　ネット世論の功罪

　第三章　ネット世論の健全化
　　第一節　ネット管理の強化
　　第二節　健全化への提言

第四部　メディアと対外イメージ

　第一章　大国化と「中国イメージ」のギャップ
　　第一節　大国化の中の自信と不安
　　第二節　政治課題となったイメージギャップの是正
　　第三節　イメージアップ作戦の三つの流れ
　　第四節　「抵抗型」モデルの限界
　　第五節　対外発信力の拡充と「発信型」モデルの限界
　　第六節　「改革型」モデルの模索

　第二章　日本の新聞の中国報道 ―― 報道フレームの転換
　　第一節　対中不信の高まりと報道
　　第二節　「友好フレーム」で始まった特派員交換
　　第三節　「友好フレーム」をぶち壊した天安門事件
　　第四節　「普遍的価値フレーム」の功罪
　　第五節　二つのフレームを越えて

あとがき

著者プロフィール

北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院教授。1948年生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。読売新聞社テヘラン特派員、上海特派員、北京支局長、論説委員などを歴任して99年北海道大学教授に転出。主な編著に、『日中相互理解のための中国ナショナリズムとメディア分析』（明石書店）、『中国報道の読み方』（岩波書店）、『中国文化強国宣言批判――胡錦濤政権の落日』（蒼蒼社）など。2012年4月より桜美林大学教授に就任予定。

「2012年 『現代中国を知るための40章【第4版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」