空しか、見えない

著者 :
  • スターツ出版
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883814145

作品紹介・あらすじ

忘れ得ぬ場所、千葉県岩井海岸。15歳の夏、臨海学校で一緒に遠泳をした8人組のバディ、"おしゃもじハッチ"。おしゃもじは、海を泳ぐための命札だった。10年経ったいま、突然その輪が一つ欠けてしまったことをきっかけに再会し、再び泳ぎだす。その中には、主人公・佐千子の音信不通になった昔の恋人も含まれていて…。忘れていた何かを思い出させる、著者初の渾身の青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 15歳の夏、臨海学校でバディを組んで一緒に遠泳をした8人。10年の時が経ち、その一人、佐々木義朝の死をきっかけにバディ達は再会する。「次の夏、もう一度、遠泳をしない?このメンバーで」野上佐千子の突然の提案に、バディ達はひとつの目標に向けて再び動き出す。

    この8人組のバディの名前は「おしゃもじハッチ」。海を泳ぐための命札となるおしゃもじから命名された。また各々の近況を知らせる佐千子発信のメールは、中学時代に佐千子が発行していた新聞から「サセの新聞」と名付けられ、当時同様<情報部員ことりっぴ>や<情報部員イーグル>が各記事を担当している設定になっている。なんだか、痛い(笑)子供の頃は大まじめにやっていたことでも、大人になってから思い出すと気恥ずかしく感じることがある。しかし子供の頃の真剣さを大切な思い出として共有してきた8人の間には、友情以上の“絆”があった。
    遠泳から10年が過ぎ、バディ達はそれぞれ違う場所で、それぞれの25歳という時間を過ごしていた。仕事や恋愛、将来など各々が問題を抱えて苦悩していたが、「もう一度遠泳をする」という目標に向かって1年を過ごす間にさらに強まった絆によって8人のメンバーは支え合い、成長していく。青春の延長線上にある物語だと思った。

    仲の良いグループができると、そのメンバーだけで閉じたグループになってしまいがちである。しかし「おしゃもじハッチ」は義朝の恋人のまゆみ、バディの一人である渡辺芙佐絵の同僚の吉本など、仲間が増えていくことを好意的に受け止めている。そのような開かれたグループであるという点も、8人の絆の強さと同様とても素敵だと感じた。

    この本を読んだのは真冬だが、読了後には真夏の太陽の光を浴びながら、どこまでも広がる空を見上げるイメージが頭の中に広がった。爽快感を残す物語だった。

  • 中学生時代の遠泳メンバーの死をきっかけにまた遠泳をする事に。25才のそれぞれ悩み、青春!?ラストの、円陣はいい感じだけど、その後はどうなった?
    2013.7.11

  • ちょっと想像していたものとは違う
    15歳の時に出会えた友人と
    途切れることなく会い続けられるって
    ちょっと羨ましいかもしれない
    でも、メンバーの中でカップルができたり、片思いのままだったりするわけで、それでも結束が崩れないのは、ちょっと不自然かな

  • 青春小説。高校時代の遠泳のグループ。再会し、事故で亡くした友のぶんまで泳ごうとする。

  • 夏だなぁと思う。15歳の時に遠泳でチームを組んだ8人が10年後ある出来事をきっかけにもう一度集まり遠泳をしようとする。それぞれ社会人になって悩みも多いけど、、主人公?が殊更に悩んでいて少しイライラしてしまった。この作者は海の描写が素敵だと思う。装丁も良いんだけど、、この絵にはマリカが居ないじゃないかと思ってしまう。そこが残念。

  •  中高一貫校の同窓生8人は、夏の臨海学校でチームを組んだ仲間。
    10年後、義朝の死をきっかけに7人は再会する。25歳の独身男女の世界へ、旨く入り込ませて下さった作者の手腕が凄い。
    真っ直ぐな物語。中学校の遠泳体験があり、その種が確実に花が咲いたように、更に広がるさまに感動した。

  • 谷村さんの作品はダントツで『余命』が好きだったんですが、こちらもとってもステキなお話でした~。


    とくに主人公の子の悩みが私と似ていたりして、共感することが多かったり。

    最近の作品なので、作中にLINEとかもでてきます。

  • 遠泳を通して物語が進む甘酸っぱい青春小説。
    主に恋愛模様が描かれている。メインとなる主人公はいるものの、登場人物が多く、多視点で描かれている。
    全く論点がずれるがスイムのモチベーションを上げるには目標の設定が重要であると読み取れた。また一般的には仲間の存在も重要である。
    アラサーで甘酸っぱい感覚に浸りたい人にオススメです。

  • 中学校3年の夏、2キロの遠泳を泳いだ8人の仲間。

    社会人になり、それぞれの人生を進みながらも友人を大切におもい、時にはぶつかりあう主人公たち。

    一生の友人って、いいな。

  • 中学生の時の遠泳チームのメンバーが
    一人の友人の死をきっかけに
    再び集まって、遠泳をする。

    私に遠泳の経験はない。
    潜るのは好きだが泳ぐのは好きではない。
    それでも、潜っていた頃は、ジムでよく泳いだ。
    海で泳げないのは怖いから。
    しかし、遠泳が学校行事であったら
    もう絶対、その学校は避けたい。
    けれども、その未知の世界には、物凄い魅力があるらしい。

    中学生の頃から大人になるまでを
    振り返りながら前に進む。
    人との繋がりと孤独感との関係を考えさせられる作品だった。

    海から上を眺めて見る空は格別。
    それは私も同感。

    私は、環がお勧めだけどね。

  • 中学時代に行ったことを社会人になりまた集まってやるというのは大変だけどそんな機会があってもいいと思う。働くようになって学生時代の人達と何かする機会ってほんと減った。

  • 以前に既読をチェック

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著者プロフィール

1962年北海道生まれ。北海道大学農学部卒。’90年『結婚しないかもしれない症候群』で鮮烈なデビュー後、’91年に処女小説『アクアリウムの鯨』を刊行する。自然、旅、性などの題材をモチーフに数々の長編・短編小説を執筆。紀行、エッセイ、訳書なども手掛ける。2003年『海猫』で第十回島清恋愛文学賞を受賞。

「2021年 『半逆光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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