造花の解体 (Holly NOVELS)

著者 :
  • スコラマガジン(蒼竜社)
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本棚登録 : 70
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883864003

作品紹介・あらすじ

「壊れかけた体」を撮り続けている写真家・エスの元に、生きているのに腐り始めた人間を知っているという男が現れた。男に導かれ、その人物を訪ねたエスが見たものは…。囚われた少年の濃密な世界「スワンソング」、運命的な出会いを描いた「サンプリングハッシュ」などスペル・イー・エスシリーズを中心に、日常の一瞬を繊細に切り取った珠玉の掌編集。愛に焦がれる男を描いた書き下ろし「愛されたい。ただ、愛されたい」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • グロBLの巨塔?を読んでみた。歪んだ人間の犠牲になる非道徳的な痛さをこれでもかとグロテスクに表現し、その結果できた腐った体は愛情のバロメーターとして秤にかけられる。
    腐臭と膿のなかで愛し合う男女は、どんなに醜悪だろうと主人公の眼には至高のものに映るんだろう。

    ある身体的特徴から愛した女に拒絶され、絶望のままレイプを繰り返す男の話。総白髪になり、胃に穴があくほど乖離してしまった自分自身を、受け入れられる器があったことに悦んでいる。あぁまるで彼は童貞だったんだなぁ。主人公の丈夫なアナルには感謝するしかないな。

    短編「生まれない子供」。医療ミスで記憶が30分しか保てない男と、その息子。身重の妻の記憶から時が止まり、彼の中では永遠に生まれない子供なのだ。記憶に刻み付けたくて息子は父親を抱く。父親という子宮に取り残された自分を探しに。そこに情があるわけではなく、身体を繋げた時の絶望感が、物理的な感覚として見事に表現されている。なんかとにかくすごかった。こんな表現思い付く物書きって生業は改めてすごいな。

  • よ、読み辛い……。話がどうこう以前に文章が頭の中に入ってこない。独特といえば聞こえはいいけども。途中挫折したので評価はなしです。

  • 「生まれない子供」がサイト掲載時から大好きで大好きで大好きで、すっごく胸に突き刺さってて、ふとした瞬間に思い出しては身体の芯がしくしく痛むというか引き絞られる話だった。
    それで、思い出し読みにサイトにいったらなくてしょんぼりしてたので、再録されていてほんとにほんとに嬉しかった。
    存在を認められたい主人公の子がとった手段がつらくて、何度読んでも息を詰めてしまう。タイトルからしてえぐられる。でも好き。これが西条さんの魅力だと思います。
    書き下ろし、好きです。ウリの子が全部捨てちゃう、みたいなの、愛しい。
    また九年かかってもいいから、ぜひ新刊を出してほしいです。既刊も新装版にしてほしい。読みたいです。

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