鉄道業界のウラ話

著者 :
  • 彩図社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883928576

感想・レビュー・書評

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  • 鉄道会社に勤務されていた技術系の方が書かれた本で、鉄道業界のウラ話について述べられています。

    話の内容から、いわゆる昔ながらの私鉄での勤務ではないようで、競争の少ない会社で昔ながらの良さと「変化の対応の鈍さ」が共存している会社の実情について、実際にいた人が感じた事柄が書かれてあり興味深く読みました。

    私が社会人を引退するころにはリニアモータも開通しそうですが、この数十年の間に、少なくとも東京・大阪間の移動は信じられないほど楽になりました。この「楽さ」が「仕事への余裕」につながればよかったのですが、結果的には、宿泊費の節減程度にしかならなかったと思っているのは私だけでしょうか。

    今後は、移動時間はますます短縮化していくことになるのでしょうが、皆が幸せになるにはどうすべきかも考慮して、鉄道開発をしてほしいと思いました。

    ただ、この本を読んで驚いたことは、鉄道会社にはいまだに数種類の組合があり、組合間で対立があるということでした(p160)。まさに「沈まぬ太陽」で書かれていた内容が現在でも起きていることに驚きました。

    以下は気になったポイントです。

    ・台風時等、駅間での列車停止をさけるべく、間引き運転をする(p29)

    ・レールに冠水すればその電流が漏れてしまうので、信号が青にならない、レールに土砂が流れ込めば、脱線にもつながる。鉄道車両が脱線しないのは、車両のフランジというでっぱりが、レールに引っかかっているだけ(p45)

    ・本社の設計担当といっても、6名程度のみ(p92)

    ・乗用車が完全な量産型なのにたいして、鉄道車両は受注車両、鉄道車両の開発で最初に必要なのは、鉄道会社が要求仕様を決めること(p96)

    ・車両部門ですら、鉄道会社はユーザー企業で、車両をメンテナンスするのが仕事の基本(p107)

    ・運休や30分以上の列車遅延が発生すれば、国土交通省の地方局、10分以上なら本社まで報告を上げる必要がある。9分だと不要(p129)

    ・ストレスの多いホワイトカラーとは違い、ブルーカラーの現場では、毎日が自分自身のモチベーションとの闘い(p132)

    ・2010年から2年間で新幹線の開業があいついだ、10年12月には東北新幹線が青森開業し、東京から青森まで開通、11年3月には「はやぶさ」及び九州新幹線の博多ー新八代開業で、新大阪から鹿児島中央まで開通(p219)

    ・2011年12月には、整備新幹線として、新函館ー札幌、金沢ー敦賀、長崎ルートが決定された(p222)

    2012年6月23日作成

著者プロフィール

鉄道ライター。『最新鉄道ビジネス』(洋泉社)、『鉄道マンの世界』(洋泉社)、「別冊宝島」などを中心に執筆している。元大手鉄道会社社員で、『社名は絶対明かせない 鉄道業界のウラ話』(小社刊)の著書がある。
著者ホームページ http://railman.seesaa.net

「2015年 『誰も語りたがらない 鉄道の裏面史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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