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- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784886296733
感想・レビュー・書評
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山下聖美
宮沢賢治 春と修羅 論
綿密な考察と独自の目線により「春と修羅」を解読した本。120点の文献要旨も掲載され、これ1冊で「春と修羅」論のテーマを網羅しているように思う
とにかく明快で面白い論調。詩の情景が見えるように、言葉を一つ一つ解読している。法華経に頼らず、宮沢賢治の心情や詩情を説明している点に好感が持てる
著者の主な考察ポイント
*まことのことばを失った「おれ」が ひかりの底で 言葉と闘い、心象スケッチしたのが「春と修羅」
*心象スケッチ=書かれる言葉
*諂曲(てんごく)模様=書かれた言葉の大群
*修羅=闘う者
*おれ=諂曲(てんごく)模様の言葉の大群を書いた人
*まことのことばを失ったおれは ひとりの修羅
*まことのことば とは本当に言いたいこと
*ひかりの底は ひかりの源がある場
他の文献で面白かった考察ポイント
*中村稔〜修羅=煩悩を抱く自分。詩=悪霊と自然との対決の記録。まことのことば=仏の教え
*境忠一〜主題=自己否定と自我との拮抗。春=自然。修羅=宮沢賢治自身
*奥山文幸〜心象スケッチ=意識の深みからのスケッチ。括弧表現は 別の語り手〜宮沢賢治の地声。主の語り手の世界の意識との格差が詩の世界を広げる
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