メディアは「貧困」をどう伝えたか

著者 :
  • 同時代社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784886839381

作品紹介・あらすじ

テレビ報道からSNSまで――「貧困」の実相は伝わっているのか?
「ネットカフェ難民」「派遣村」「コロナ貧困」などの現場を取材してきた著者が、「貧困報道」の変遷を詳細に分析し、問う。そして、支援活動の当事者やその活動を伝えるジャーナリストらの証言を通して、高度成長期以降の日本社会に巣くう病理に迫る!

感想・レビュー・書評

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  • 2部構成で前半はリーマン期(年越し派遣村)からコロナ期までメディアの貧困の伝え方をデータを踏まえて著者が考察した部分。後半はこの間に現場で活動してきた人たちの生の声を著者がインタビューした部分。後半部分が現在の状況をリアルに伝え、その中で活動している人達の生の声を聴ける部分だけドラマティックである。コロナ期でかつてない貧困状態が広がっているが、実態が報道されなくなっている。確かにメディアがテレビや新聞からネットに変わっていったり、女性や外国人の問題が広がっていったり、トラウマ的な背景を持ちメンタルの問題も抱えていたり、障害の問題もあったり、複雑化している点もある。生保基準が切り下げられたことをきっかけとして生保バッシングが起こり、現在は政府までも生保を最後のセイフティネットと言わざるを得ない状況なのに生保忌避感が強い世の中になっている。このような状況で私たちが何ができるのか、現場で起こっていることを少しでも世の中に発信していくことだろう。変わらない活動家もいれば新しい潮流も起こっている。暗い世の中ではあるが、希望を持てる書であった。貧困問題に興味がある人は一読の価値があると思う。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50351645

  • 東2法経図・6F開架:368.2A/Mi96m//K

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著者プロフィール

上智大学文学部新聞学科教授。
1957年生まれ。東京大学法学部卒。
札幌テレビで生活保護の矛盾を突くドキュメンタリー「母さんが死んだ」や准看護婦制度の問題点を問う「天使の矛盾」を制作。ロンドン、ベルリン特派員を歴任。
日本テレビで「NNNドキュメント」ディレクターと「ズームイン!」解説キャスターを兼務。「ネットカフェ難民」の名づけ親として貧困問題や環境・原子力のドキュメンタリーを制作。芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。
2012年から法政大学社会学部教授。2016年から上智大学文学部新聞学科教授(報道論)。

単著に『母さんが死んだ〜しあわせ幻想の時代に〜』(ひとなる書房)、『ネットカフェ難民と貧困ニッポン』(日本テレビ)、『内側から見たテレビ やらせ・捏造・情報操作の構造』(朝日新書)、共著に『テレビはなぜおかしくなったのか』(高文研)、『想像力欠如社会』(弘文堂)など。

「2023年 『メディアは「貧困」をどう伝えたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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