- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887063396
作品紹介・あらすじ
雑木林的空間をもつ建築へ。閉じた箱ではない「開いた場」的モデルへ展開する小嶋一浩の思考と実践。
感想・レビュー・書評
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建築に対して流体力学的知見に基づいた建築のあり方を考えるキッカケ作りに良い本だと思います。CFD(computational fluid dynamics)数値流体力学的に導き出された風通しの良い家を模索してきた著者ですが、彼らがどんな人生を歩んで、どんな考えの基にこれを応用してきたのか興味を持ちました。
この本を読んで強く思ったのは、もし将来、家族を持つとしたら、風通しの良い家で風通しの良い家族を作りたいです。
読みやすいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者である小嶋一浩は私の指導教員の師にあたる方であり、学生の私としてその思想を探りたく手に取りました。白と黒→小さな矢印→耕す建築→雑木林的建築と20世紀の作り上げたモダニズムの越えるための建築思想を常に発展させてきている様子が見て取れる。それぞれに挙げられる思想とそのきっかけとなった様々なプロジェクトにトライアンドエラーで取り組む。小嶋さんの思想のみならず、彼を通して、建築の作り上げてきたモダニズムを環境的な側面や、都市計画的側面からも学べる一冊。
よかった点としては、上記に挙げた面のインプットがあるが、彼の建築にはあまり断面的な魅力などをあまり感じない。フォトジェニックであることを目指さないことによるかもしれない。小嶋さんはCFDを全面的に肯定をしていたが、小堀哲夫はCFDはあくまであたりをつけるのみで決定をできない、と批判的にも捉えている。各々の目的が異なるからかもしれない。小堀さんはオフィスに白と黒を持ち込んでいると言えるかもしれない。それぞれの建築家が目指す白、黒を扱い可能な言葉として取り出したことが彼の功績の一つかもしれない。 -
大きな矢印とされている近代の量産型から、雑木林のように空間の領域が曖昧で機能が不確定な「小さな矢印」を孕んだ建築を目指すという、現代建築の新たなイデオロギーを提唱する小嶋さんの思考が詰まった本。
建築とその周辺のコンテクストとの相関関係という、現代では当たり前に意識づけられるようになった設計思想。そのプロセスを「矢印」というビジュアルで分かりやすく図示し、建築を一つの流れとして捉えている。
著者の小嶋さんの設計プロセスとして、一つの大きな模型(1/30とか)をひたすら壊しながら形を「検証」するというスタイルを確立しており、大きなスケールで建築を視覚的、感覚的に捉える事で効率良く深度ある建築プロセスを築いてると感じます。
建築を志している人ならば一度は読んだ方が良いかもしれません。特に大学一年生の時に読んでおけばよかったなあと思います。 -
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http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784887063396