本を読むデモクラシー: “読者大衆”の出現 (世界史の鏡 情報 3)

著者 :
  • 刀水書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887085039

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  • 2013 2/16読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
    図書館系勉強会向けに借りた本。
    印刷革命後の「読書の社会史」をパリを中心に、一部近世日本の事情も交えつつ扱った本。
    面白かった! 著者の他の本も読んでみる。
    以下、各章メモ。

    ○1章:識字率
    ・識字率の話は図書館史の授業冒頭に持ってきてもいいのかも?
     世界の状況とかの話は掴みになりそう。
    ・新教/旧教と識字。自ら聖書を読むための、まさにリテラシーとしての識字について。これも避けては通れない話題かなあ・・・いよいよ聖書を読むべき時か。

    ○2章:19世紀フランスにあったという有料の「読書室」(店内閲覧がメインの貸本屋)について。
    ・学生御用達で医学・法律の専門書を借りられるようなところも? 多い所では蔵書52,000。
    ・当時の公共図書館は?・・・あるが、夜間もあいているところは少ない。「無料のパブリックな読書空間は、きわめて限られていた」(p.34)
    ・現在は読書室は存在しない・・・民衆向け図書館の発展の影響も

    ○3章:江戸時代・日本の貸本屋について
    ・p.51~52になぜ日本では活版が江戸時代に普及しなかったの考察がちょろっとあり。
    ・行商・・・薬売りが貸本屋を兼ねる。本を背負って顧客を回る。さらに版元も兼ねる例も。
    ・八犬伝などはむしろ貸本屋がメイン購入者?(読本は高価で通常は買えない)
    ・p.66 貸本屋についてのまとめ
    ・明治に入りこの手の貸本屋は消えていく・・・新聞小説の台頭や洋裁の本の重さなど。

    ◎江戸期の流通体制はどうなってたんだ??

    ○4章:再びヨーロッパ。新聞連載小説について

    ○5章:ここまでのように「読書」が大衆化すると・・・?
    ・文学市場の形成と印税システムの確立
    ・p.109~:印刷物と「世論」の話に言及あり

    ○終章:ふつうの人の読書実態をいかに知るか・・・
    ・「聞き書き」の有効性の提案も

著者プロフィール

1947年生まれ。東京大学・放送大学名誉教授。フランス文学、書物の文化史。単著に大佛次郎賞を受賞した『本の都市リヨン』(晶文社)、『読書の首都パリ』(みすず書房)、『ラブレー周遊記』(東大出版会)、『モンテーニュ 人生を旅するための7章』(岩波新書)、『パリ歴史探偵』(講談社学術文庫)など。訳書にラブレー『ガルガンチュアとパンタグリュエル』全5巻(ちくま文庫、読売文学賞・日仏翻訳文学賞)、モンテーニュ『エセー』全7巻(白水社)、『ヴィヨン全詩集』(国書刊行会)、『フランス・ルネサンス文学集』全3巻(共編、白水社)、バルザック『グランド・ブルテーシュ奇譚』(光文社古典新訳文庫)、グルニエ『長い物語のためのいくつかの短いお話』(白水社)など。

「2023年 『文学のエコロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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