大学改革その先を読む: 立教大学「大学教育開発・支援センター」連続セミナー講演記録

著者 :
  • 東信堂
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887137882

作品紹介・あらすじ

大学は何に適応し、どのような価値にこだわるべきか?大学教員・職員、関係者の現場発のメッセージ。

感想・レビュー・書評

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  • 明治以来の大学の歴史を鳥瞰しているようなところがります。明治7年に出来た立教大学で働き、「立教学」
    という授業があるからでしょう。聖公会が「学識ある真摯な信徒を持つ」ために開学したという経緯は面白いです。
    一方、大学の歴史の中で、帝国大学の開学の目的に「国家の須要ニ応スル学術技芸ヲ教授しその「蘊奥ヲ攻究スル」という表現には改めて、日本の富国強兵のために設置されたことを痛感します。大学職員論があるのに、大学教員論がないのはなぜか?説明には思わずにっこりするくらい、説得力があります。今では大学教員も掃いて捨てるほどおられるからです。

  • 寺﨑先生2冊目。

    自校教育について
    「……語らなければならないことが二つあるとも言いました。一つは、二〇年間でその大学の中の学生はどう変わってきたかを、正確に話すこと。学生たちは、自分たちの先輩がどうだったかを大変気にしているからです。もう一つは、その大学で教員である自分はなぜ働いているかです。この点を学生は知りたいのです。どの大学にも、頑張って教えている先生がいる、ということを知るだけで違うと思います」(65頁)

    大学の教員について(著者は大学院の教員について述べている箇所だけど)
    アメリカの理系の大学院に留学した人の話から。
    「……〔アメリカの大学院の〕教員は必ず講義をすることになっているそうですが、大学院の教授に求められる資格は、『質問が出るような話ができるか』ということだったと語っています。アメリカにも積極的に質問しない学生はいる。そうした学生ですら質問したくなるような話ができるか。それとも質問なんて思いつかないような話しかできないか。相当厳しい条件ですが、それが大学院教員の大事な資格だったと言っています」(75頁)

  • 大学は学生の頃って、どういう経営で大学自体の歴史なんて知ろうとも思わなかった。でも、この書籍によって、学生の立場・教員の立場・職員の立場などの観点から読み解くことができた。まだ読み解くまでいってないと思うが、。大学というより教育に関係する人向けだけど、とても勉強になった。

  • 編集でかかわっている翻訳本が次回、この出版社(東信堂)から出るため、社長とお話しに行った際、私が高等教育マフィアだということでいただいた本。

    立教大学の先生で、立教の取り組みをところどころに含めて書いていて、
    著者が「東大を頂点とする知の序列」に対極する位置に、日本における「立教」という私学の位置付けているのが興味深かった。
    現在の大学問題の重要テーマを考えるための導入としては、読みやすくていい本だと思う。

    私が面白いと思ったのは、日本中の多くの学生が「不本意入学者」であるという指摘。
    そして、あるテーマをかんがえるとき、名詞で考えるな、動詞で考えろ、というエピソード。動詞で考えることこそで、オリジナリティを追求することができると。
    これは研究を行う上でも重要な視点なのではないかと思いました。

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