学問:「予測する力を持つ体系的知識、およびその知識を得るための研究方法」
人文・社会科学は、モデル化誤差・非線形の問題から、完全な予測を産み出すという目標は捨て、生じうる可能性を確率モデルとして議論する方向で研究が進んでいる。
科学は、同一条件下での現象の再現性を仮定しているが、種種の要素が複雑に絡み合う人間・社会において適用できる法則や知識が過去の経験から単純に導き出すことができない事態が生じる。
⇒蓄積した数値データを基にして、法則を導出するモデルベースの研究を参照しつつ、モデル化する段階で抜け落ちる情報は個別のケース・スタディで補完し、さらにそれでも補完しきれない部分は人間の直観(仮説)を頼りにする、といった方法が現存する方法論としては最も有効。(ケーススタディは、統計データに現れない個別の事例に関する詳細な情報を知る上では有効だが、統計的事実そのものを否定する力は持ち得ない。)
●本書は、特に社会科学がイデオロギーの影響を受けやすい、として、学問の悪用に警鐘を鳴らしている。(「イデオロギー化する学問」)
それぞれの政策をとった場合、利点も欠点も含めてどのような変化が起こるかを予測することが学問の役目。
学問として語られる詭弁の例
①二分法
人々や考え方を原理的な基準で2つに分けてしまう
②相殺法
相手の言い分に対してそれを帳消しにするために実際には言い分と関係ない事柄を持ち出して対抗する詭弁術。
③論点のすりかえ
議題を気づかれないようにもとの議題と違うものにすりかえる
④主張の言い換え
主張を言い換えるとき、人間が誤りやすい推論の間違いを逆用、あるいは言葉の定義の曖昧さを逆用して、もとの主張と違う意味を持つ主張に変えてしまう詭弁術。
⑤消去法
あらかじめ対立概念を列挙しておいて、一つだけを議論せずに残りのものを批判して消去する方法。列挙された対立概念に漏れがあったり、複数選択するという解がありえる場合、間違った推論に導くことができる
⑥比ゆの乱用
⑦数字を使った詭弁(アンケート、統計調査)
●本質主義と構築主義の違い
⇒構築主義は、「完全に客観的な立場」をとることは社会学等では不可能であること、社会現象について事実関係を100%確実に実証することは不可能であることを論拠にし、実証主義や本質主義を批判する。
⇒A先生に都合のよい説は十分な証拠がなくても採用され、A先生に都合の悪い説は100%の証拠がないよ採用されないという基準にそって議論が進められることがある。(これは、自分にとってもないか注意が必要。得てして人が自分の意見を主張するときは、相手のほうを厳格に見やすい。)