- Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
- / ISBN・EAN: 9784888883283
感想・レビュー・書評
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マックス・リュティ『ヨーロッパの昔話』の考え方をベースとして、フェリクス・ホフマンが描いた『七わのからす』を例に、昔話の語り、そして絵本のあり方を問うている。
昔話といえばすぐに絵本やアニメを思い浮かべるが、そういえば絵のない語りなんて、他人の思い出話くらいしか聞いたことがないかもしれない。
幼少時代に親しんだ読み聞かせも紙芝居も、お話には必ず絵がついていた。
今では大人向け絵本など、昔話の独自解釈をした、とにかく趣向を凝らした作家性のある絵本が増えて、それを褒めそやす記事はあれど否定する意見は見たことがなかった。
言われてみれば確かに「語り」と「絵本」では文法が全く異なる。
絵は何もかも説明的で、だからこそ無知な子供の想像の助けになったり、逆に抑制したりもする。
子供の頃は文字ばかりの物語集のことを、絵をケチっていていけ好かないと思っていたが、想像の余地を残してくれた分良心的だったのかもしれない。
現代において、視覚情報はより一層発言力を増している。
文字は読めるが文を読み取れない者が増えていることから、幼少時代の物語への接し方(想像力の使い方)も多分に影響されているだろう。
子供に接する機会がある者には一読を勧めたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホフマンの『七わのからす』を題材にして、語り継がれてきた昔話を絵で表すことの難しさを説いています。面白い。自分がいかに適当に絵本を読んでいるか痛感します。こんな風にしっかりと絵本の骨までレビューできるようになりたい。。。
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昔話絵本はどれも似たようなものと思っていた自分の考えが浅はかだったと思わされた内容でした。元々文章のみだった昔話を絵本にする際、どの場面を絵にするのか、文章と絵の配分など、どの絵本を選ぶかがとても重要だと感じました。児童サービスを担当するときに、ぜひとも読んでおきたい一冊です。