シクロフスキイ規範の破壊者

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  • 南雲堂フェニックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784888963756

作品紹介・あらすじ

ロシア・フォルマリズムの主導者ヴィクトル・ボリソヴィチ・シクロフスキイ(1893‐1984)。彼が提唱した芸術の手法としての「異化」理論は、帝政の崩壊を背景として、文学の伝統的形式の破壊と権威の転覆を呼びかける、まさに芸術の革命を象徴するものであった。あらゆる伝統、規範、権威、そして時代の要請、社会主義リアリズムのイデオロギーさえもすべて破壊して異化すべきコード、そこから離散して異なる世界(流動的なカオス)を創造すべきシステムとして認識し規定したシクロフスキイ。彼にとって規範の破壊こそが芸術のプロセスであり、その生涯は規範の設定と破壊活動の永続革命であった。本書では彼の小説、シナリオ、エッセイ、芸術論など晩年に至るまでの数々の実験的な創作を通じ、「異化」の概念やフォルマリズムの理論とその実践、および機械主義等を丹念に考察していく。その過程で私たちは記号論、受容理論、知覚理論、身体論、メディア論、情報理論、さらにはフェミニズムに至る問題がさまざまなかたちで関わりを見せ、「異化」の幹からそれぞれに枝葉を延ばしていくのを認めることになるだろう。

著者プロフィール

Chitose Sato
筑波大学人社会系・人類学専攻准教授。1963 年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科を経て、デューク大学大学院歴史学部博士課程修了。西南学院大学助教授を経て、現職。Ph.D(歴史学博士)。専攻はアメリカ現代史,労働史・女性史・社会政策史。著書に『軍需産業と女性労働―第二次世界大戦下の日米比較―』(彩流社 2003 年、清水博賞受賞作)、『アメリカ型福祉国家の形成―1935 年社会保障法とニューディール』(筑波大学出版会、2013 年)、「第二次世界大戦期の軍需産業と女性労働者―カリフォルニア州リッチモンドのカイザー造船所を事例として―」有賀夏紀・小檜山ルイ(編著)『アメリカ・ジェンダー史研究入門』(青木書店 2010 年)、 「アメリカにおける1996 年福祉改革法とジェンダー―第104 連邦議会の女性議員にみるフェミニズムと福祉―」杉田米行(編著)『日米の社会保障』(大学教育出版 2010 年)など。

「2014年 『アメリカの福祉改革とジェンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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