- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784890633159
作品紹介・あらすじ
人は人を殺したがらない。殺人を悪だと知っている。しかし、それでも現にこの世には、悲惨な戦いや虐殺がある。人はなぜ、平和を祈りつつも、戦争やテロを行なうのだろうか?二人の宗教学者が「戦争」と「宗教」に共通する人間の矛盾や葛藤を多様な角度から論じる。人間と社会、戦争と平和について考えるための入門書。
感想・レビュー・書評
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あまりにも恐ろしく真理を突いたタイトルに引かれて読んだ本。
高邁な精神を持ちながらも簡単に悪に転ぶ人の心の弱さを、この本ではどう書き表すのか。
「祈る」というところから、やはり宗教が重要ファクターとなっています。
宗教は、信者の人生や世界に究極的な意味づけをする、秩序だった意味の体系なのだとか。
たとえ聖戦だったとしても、人の命を奪い、そこに悲劇を生み出す戦争。
その正当性のために、戦争は大きな悪を封じ込めるべく、小さな悪を選択するものだとされてきました。
当時の赤紙召集令状は、本人とその家族には恐怖以外のものではなく、自ら身体を傷つけて兵役不適格者になったものも少なくなかったのだそう。
明治・大正・昭和期に、全国の寺社で「徴兵逃れ祈願」が流行し、共同体全体で徴兵逃れを祈願していたことは知りませんでした。
世界中で無意味な争いが繰り広げられている中で、宗教哲学的な問いを放つタイトルのことは、これからも忘れてはいけないと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書はキリスト教系の学校に通う学生向けに書かれたものであるらしい。前半はグロスマンの著書の引用が多く退屈したが、後半のキリスト教と戦争や殺人の歴史部分は面白かった。プロテスタント各派や聖公会それにカトリックについては書かれているのだが正教会については触れられていないのは何故だろう。