マネキンさん今晩は (コーネル・ウールリッチ傑作短篇集 4)

  • 白亜書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784891726706

作品紹介・あらすじ

大都会に憧れて家出した娘が事件を目撃し、危険にさらされる表題作ほか、「爪」「裏窓」「睡眠口座」など40年代前半の名作6篇に、本邦初訳2篇を収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 1940年から43年にかけての作品集。「マネキンさん今晩は」、最後のショウウインドウの場面がとても映画的。「睡眠口座」がおもしろい。日本でもドラマになったようだ。「死者が語れば」はよくある三角関係の話なのだが、文の作りがなんとも悲しい。


    「マネキンさん今晩は Meet Me by the Mannequin」(ダイム・ディテクティヴ1940.6月号)
    姉を頼って都会に出てきた18歳にもならないフランシーン。姉の住所に行って見るとそこはあやしげな遊興所で偶然殺人を見てしまう。さあ、追われる私はいつも見ているショウウインドウのマネキンを見ると・・

    「毒食わば皿まで Murder Always Gathers Momentum 」(ディテクティヴ・フィクション・ウィークリー1940.12.14日号)
    失業したペインは元の雇い主に未払い金を払ってくれるよう頼みに行くが・・ ちょっと「賢者の贈り物」を思い出してしまった。「私が死んだ夜」とも似ているが、しかしこちらは暗く暗く転落してゆく。「最後がまた、おーっ というオチ。
    Momentumは勢い、はずみの意味。

    「霧のなかの家 Crazy House」(ダイム・ディテクティヴ1941.6月号)
    極東の地である男から戻ったらある女を訪ねてくれ、と頼まれ女を訪ねた男。霧の中の邸宅は近所で聞くとここしばらく誰も住んでいないという。だが先ほど電話した時は確かに女が応答したのだ。果たして家に着くと、女が出てきて部屋に通されたが、ある男が見せてくれた写真の女とは違う顔だった・・ しかも女の父が倒れていた。このままでは犯人にされてしまう・・

    「爪 The Customer's Always Right」(ディテクティヴ・テールズ1941.7月号)
    引退したモロウ警部が語る捕り物譚。あるレストランで殺しがあり男を取り押さえたが、男は金庫を開ける時爪をはがしていた。捕まえた犯人は指先をけがしていたが、証拠となる指先はどこにもなかった。


    「我が家の出来事 Murder at Mother's Knee」(ダイム・ディテクティヴ1941.10月号)
    受け持ちの児童が書いた「我が家の出来事」という作文。なにか犯罪の匂いを感じた担任のプリンス先生、なんとその少年の家に下宿してしまう。底なし沼の描写が巨大アリ地獄を頭に浮かべる。

    「裏窓 It Had Be Murder」(ダイム・ディテクティヴ1942.2月号)
    映画の印象が強すぎる。「ホテル探偵ストライカー」にも所収。

    「睡眠口座 Dormant Account」(ブラック・マスク1942.5月号)
    幸薄いものに、若者に、幸あれ? 最後のオチが、途中で薄々感じはするのだが。失業中の男、15年取引の無い口座をお持ちの方は申し出を、という新聞記事に、一か八かの芝居をうつ。その口座は残高10ドルかもしれないし、或いは? うまくある人物になりおおせてなんとその口座の102010ドルの金をせしめる。銀行の前には靴磨きの若者リンピイがいた。・・がしかしそうは問屋がおろさない・・よね。


    「死者が語れば If the Deed Could Talk」(ブラック・マスク1943.2月号)
    悲しい三角関係。家でをして空中ブランコ乗りになった少年二人。やがて同じ空中ブランコ乗りの女性と組んで3人で花型スターに。


    2003.3.31第1刷 図書館

  • 正直なところ、『爪』や『裏窓』はウールリッチらしさが少なくてそれほど好きではないし、このあたりが代表作扱いというのもピンとこない。
    この巻だけ見ても、他にいい作品がたくさんあるのになと思ってしまう。

  • 映画『裏窓』の原作がウールリッチと知ったのは何時のことだったか。この巻にはその『裏窓』が収録されているのだけれど、G.ケリーが演じた恋人は登場しないし、お手伝いさんも女性じゃなくて男性だし・・・と映画とビミョウな違いが。脚色ってこうやるのねぇ・・・と妙な感心をしてしまった。

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