ダニが刺したら穴2つは本当か?

著者 :
制作 : 畠山泰英 
  • 風濤社
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本棚登録 : 28
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892194597

作品紹介・あらすじ

人に危害を加えるダニはもちろん、チーズを作るダニ、森の中で分解者として暮らす人に無害なダニなど、世界に5万種いるダニの多様性をしることができる本。 細密画ほかビジュアル満載 巻頭●「細密画で見る美しい日本のダニ」 各章末●「走査型電子顕微鏡写真で見る知られざるダニの姿」 付録「ダニとその仲間たちの進化の足跡」

感想・レビュー・書評

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  • ダニの電子顕微鏡の写真が怖すぎる
    虫の本は割となんでも平気
    寄生虫もイケル口ですが
    これは あかんかった
    写真のところは薄目で飛ばして読みました
    ダニの研究者ですから
    勿論ダニのいいところを
    アピールしてるんですが
    チーズにつくダニは味には
    全然影響してないとか
    事実を語っているところにも
    好感がもてます

  • <訪問>「ダニが刺したら穴2つは本当か?」を書いた 島野智之(しまの・さとし)さん:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/sp/article/568678?rct=s_books

    ダニが刺したら穴2つは本当か? 島野智之(著/文) - 風涛社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784892194597

  • 島野さんの新しい本が出て、表紙もかわいいし、カラー写真、イラストも多く、『ダニ・マニア』をもっと読みやすくリライトした本かな、と大いに期待して読んだ。
    この表紙なら、『ダニ・マニア』のリアルな巨大ダニの表紙より手に取る人は増えるだろう。
    ダニには目がないが、目がないと可愛く見えないからこのイラストはやむ無し、と思った。

    中は『ダニ・マニア』以上にダニの拡大写真が多い。紙質も良く、細部までよく見える。島野さんのようにダニを愛している人は「かわいい」「かっこいい」「素敵」と思うだろう。
    しかし、そう思える人は少ないだろう。なのに次から次にでてくるから、ハードルは上がっているんじゃないか。表紙で手にとって、パラパラめくって、やっぱりやめた、と思うんじゃないか。
    しかし、「ダニ」だけで「嫌!」と見向きもしない人もかなり多いからいいのか。

    日本語には「ダニ」という言葉しかないが、英語、ドイツ語、中国語、韓国語では、マダニ類とそれ以外のダニは別の名前があり、フランスにはさらにチーズにつくダニだけの名前があるという。(p58-61)
    日本でダニが嫌われるのはこのせいだと書いてある。確かにダニが嫌われるのは刺すからで、刺すダニに別の名前があればダニ全体がこんなに嫌われることもなかったろうと思う。
    しかし、そもそも言葉を分けないということは、刺さないダニはダニと認識していなかったんじゃないかという気もする。

    それにしても、『ダニ・マニア』を読んだ者には物足りないというのが正直なところ。ダニに関係ない写真は小さくて良い。大きなカラー写真だからどこかにダニがいるかと思ったら単に著者が行った場所の写真だったり。
    本としての面白さは『ダニ・マニア』が上。
    巻末のダニの仲間の進化の表が素晴らしく、もっと大きく見たかった。ダニの進化についてもっと知りたかった。

  • ダニが刺したら穴2つは本当か?

    著者:島野智之(法政大学教授)
    発行:2021年6月20日
    風濤社

    地球上の生物のうち、正式学名のついたものが最も多いのは昆虫だそうだ。2番目がダニ類、3番目がクモ類。ダニの生態に関するちょっとマニアックな本かと思ったが、生態に関する記述はあまりなくて(というかまだよく分かっていないように想像できた)、ダニの魅力やダニ学者の生き様、ダニがつく生物に関する生態などが多かった。なんだか期待外れだと思って読み進んだが、真ん中あたりで表題の話が出て来たあたりから、面白くなってきた。

    表題の答えは、イエスかノーかの単純回答では賄えない。でも、少し考えれば変だと分かる。僕自身が以前から思っていた点でもあった。

    ダニは世界に約5万種、日本に約2000種いるが、血を吸うのは日本では20種ほどであり、わずか1%程度。サメも人を襲う種類は全体の6%と少ないが、ダニは世界レベルでも1~2%とわずか。

    熱帯はもちろん、南極大陸から北極圏まで、地球上のあらゆる場所にダニは生息している。

    ハモリダニは、動物全体の中で一番早く動けるという試算がある、1秒あたり身長の300倍の距離を移動でき、人の身長サイズに換算するとマッハ1.6に相当する。

    ダニは風に乗って飛んでいくと俗に言われるが、本当か?確かに風で飛ばされているのは事実で、空中に漂っているものを「エアプランクトン」と言う。だが、100-1000キロも離れた島にもいる。風で吹き飛ばされて生きているものは非常に少ないと考えられ、鳥に寄生して移動しているのだろう。

    マダニは「光、酪酸、体温」という三つの感覚だけがあり、それに頼って生きているというユクスキュルの「環世界」に準じた考え方は昔のことであり、実際は全然違う。

    ●ダニと穴2つ問題
    家の中で人を刺すダニは、近年ではツメダニ類と考えられる。イエダニはネズミが運んで来るので、近年の住宅事情においてはほとんどいないと思われる。ツメダニは、鋭い爪状の触肢を使って皮膚を掴み、口器で刺すので穴が2つ残るのだと著者も思っていた。だが、ちょっと考えればおかしいことに気づく。2つの穴には2ミリほどの距離。ダニの体長は、種類にもよるが0.3-0.5ミリ。人間の身長に換算すると6畳間の端と端の距離になる。

    様々な専門家に問い合わせ、得られた回答をまとめるとこうだった。刺し口2つ穴はツメダニの仕業という通説は嘘だった。ツメダニ類は、外皮の柔らかいチャタテムシやダニの体液が餌。稀に人を刺すが、人の皮膚はそれらに比べてひどく硬いので、口器の指し直しをするために2つ以上生じるらしい。従って、3つ、4つもありえる。また、昆虫であるトコジラミも、口器の刺し直しをするために、複数の刺し口が残ることがある

    フランスの高級チーズ、ミモレットの原形は丸く表面は白くて小さな穴が空いている。ラベルを見ると「シロンを使用した伝統的な製法で熟成される間に表面にデコボコができ、粉が出ます」とあった。「シロン」とはコナダニ類のことで、チーズコナダニがチーズの熟成を手伝っているという。どういうメカニズムか?ダニの外分泌物が風味を与えている?ノーだった。ダニが食べた穴によりチーズが深呼吸する?それもノー。ダニでなくてもいいはず。

    結局、ダニが直接チーズを美味しくしているわけではなかった。ダニは暖かい部屋では死ぬので、ダニが生きているということは、熟成室がとてもいい状態に保たれているという証拠だとの結論。なお、ダニは外側にいるだけなので、食べる部分については、何ら健康に影響はない。

    レッドリストに乗っている生物は、その生物だけに寄生する生物も絶滅危惧となる。ウモウダニはトキにしかつかないとされてきた。著者は、2003年に死んだ日本産トキ「キン」や、最後のオス「ミドリ」の残された羽根、そして、可能な限りの現在の中国由来のトキ個体を調査したが、ウモウダニは見つからなかった。絶滅したと考えられる。

    日本のトキが野性で生きていけなくなったのは、1968年のトキの営巣地を上空からヘリで空撮した結果、翌年にトキがその営巣地を放棄して離散してしまったことが原因と言われている。今、ブータンではシロハラサギが25羽となり、似たような状況にあるが、ダム建設によって営巣地を追われた結果だった。日本のトキに似ている。

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著者プロフィール

法政大

「2023年 『原生生物学事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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