ブルーノ・タウト: 桂離宮とユートピア建築

制作 : ワタリウム美術館 
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784892310546

作品紹介・あらすじ

ワタリウム美術館で開催した「ブルーノ・タウト展」を記念し、ついに本書刊行。スケッチ集『画帖桂離宮』、ユートピアの世界『アルプス建築』、ベルリンの集合住宅(ジードルング)を中心に、タウトの代表作約200点を一挙に掲載。展覧会のための書下ろしテキストも収録。

感想・レビュー・書評

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  • 2007年2月3日から5月27日に開催された東京・ワタリウム美術館の『ブルーノ・タウト アルプス建築から桂離宮へ』展の会場構成をもとに、ワタリウム美術館が編集・出版したブルーノ・タウトの作品集。
    先日読んだ『ブルーノ・タウトへの旅』を読んで、実際にタウトの作品を見てみたくなり、手に取った。

    本書は、「絵画から建築へ」「ベルリンの住宅計画」「建築とユートピア」「日本美への志向」「画帖桂離宮」「トルコにて」という章立てとなっている。
    タウトの人生をなぞるような形で、時系列でタウトの描いた絵画や設計した建物、著作、工芸作品などを紹介する。

    『ブルーノ・タウトへの旅』ではどんなものかわかりにくかった作品の写真がカラーで紹介されているので、色彩にこだわったというタウト設計のジードルンク(集合住宅)の魅力もよくわかるし、日本に来てから携わった、細部のデザインにまでこだわったという工芸作品もたくさん見ることができる。

    集合住宅となると一つ一つの住戸はどうしても均質的で没個性になりがちだが、タウトの設計するジードルンクは、隣り合う住戸の色のトーンを変えてメリハリをつけたり、開口部分の色を工夫したりと、色彩で個性を作り出しているところが魅力だ。
    また、工芸作品も、懐古趣味ではない、現代の暮らしにもなじむデザインで、その土地独自の形や材料を尊重しながらも、さらに洗練されたものを目指したタウトのこだわりが感じられる。

    一方、紹介されている著作『アルプス建築』や『都市の冠』は、正直言って内容が抽象的すぎるため、自分の中できちんと理解できたとは言い難い。ただ、当時のドイツの不安定な政情を考えると、理想郷の中で理想の建築を造りたい、というタウトの想いが詰まっているのだろうな、と思う。

    『ブルーノ・タウトへの旅』でタウトの人生を一通り知った上での作品集だったので、よりいっそう作品の背景がよく理解できた。タウトの作品に触れたい人におすすめの本である。

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