東大医学部

  • ブックマン社
3.17
  • (0)
  • (4)
  • (6)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 56
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784893089335

作品紹介・あらすじ

東大理Ⅲ→東大医学部卒。それは、日本の偏差値トップの子どもだけが許された、誰もがうらやむ超・エリートコースである。
しかし、東大医学部卒の医師が、名医や素晴らしい研究者となり、成功した人生を歩むとは限らない。
今、日本の医学部、そして医療界に横たわる問題とは? 「頭がいいから医者にさせる」はもう古い?では、本物の「成功者」の道とは?自らが灘高→東大医学部を卒業した精神科医・和田秀樹と、「週刊文春」等で、医療問題を抉り続ける気鋭の医療ジャーナリスト・鳥集徹が語る、鉄門の「錆」。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 帯に書かれているような軽い読み物ではない。著者自身が灘から東大医学部を出た精神科医だが、内部から見た光と闇、功罪を問うている。最優秀の頭脳が、権威主義の環境の中でスポイルされていく闇の存在が、実例を通して披瀝されている。様々な医療過誤の事例を取り上げ、理不尽な経緯を詳らかにすることで、東大医学部の在り方に警鐘を鳴らしている。研究重視、臨床軽視の思考が行き過ぎると、医学の劣化、グローバルな遅れを招くことが実感される。これから医者を目指す学生には、医学の本質につき考える参考になるだろう。

  • ふむ

  • 東大医学部卒で精神科医の和田秀樹氏と医療ジャーナリストの鳥集徹(とりだまりとおる)氏による対談形式の本。

    和田秀樹氏といえば、個人的には自分が大学受験生だった頃(ざっと今から30年程前)に大学受験がらみの本を出していたイメージしかなかったが、実は医者だったんだ、という驚き。
    しかも、当時まだ30歳代前半という若さであったことに再度驚き。

    とはいえ、和田氏は医者でありながら、緑鐵会という東大合格に特化した進学塾を監修しており、その意味で今でも医師と受験指導の二刀流の人なのである。

    さらに和田氏は本書で、母校である東大医学部を辛辣にい批判している。

    その覚悟は半端ではない。

    なぜなら、本書を読んだ「東大医学部関係者からの反論があっても公開の場ならいくらでも討論を受けて立つ覚悟がある」と喝破したうえで、「ただ、今の東大医学部の教授たちに、そんな度量と度胸がある人がいるとは思えませんが」とこけ下ろしているからだ(笑)。

    実はこの本のエッセンスは、和田氏が書いた「エピローグ」に凝縮されており、本書の内容を手っ取り早く知りたければ、ここだけ読めばいいといっても過言ではない。

    曰く、東大医学部卒という肩書きがあれば、その後医療界ではあり得ない優遇を受けられる。またそんな彼らは、自分の立身出世のため、自分が属する医局の教授のご機嫌をうかがい媚びへつらう。
    日本の医療の発展とか国民の役に立つなどといった発想は皆無。

    その結果、日本の医療は縦割りが進み、高齢者など症状を併発する患者に対する横断的な対応ができる医者が非常に少なくなっている。

    そこで著者は、東大理Ⅲに合格した人は、東大の中で出世すればいいという悪しき価値観に染まるのではなく、自分の実力で勝負して、その能力をいかんなく発揮し、それによって日本の医学をよりよいものにして欲しいと願っている。

    さらに本書の巻末には、「東大医学部・東大病院にまつわる主な事件や不祥事」という項目があり、昭和天皇の膵臓がんの隠蔽の話や輸血を拒否したエホバの証人の承諾なく輸血をしたことなどから、東大病院整形外科医が女子高生に痴漢というワイドショーレベルの話まで、様々な事件が紹介されている。

    本書に書かれている内容の真偽については、私の知るところではないが、東大医学部という権威の裏側の一端を垣間見た気はする。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わっている。
主な著書に、『80代から認知症はフツー』(興陽館)、『病気の壁』(興陽館)、『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』(マガジンハウス)、『80歳の壁』(幻冬舎)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『老いの品格』(PHP)などがある。

「2024年 『死ぬまでひとり暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

和田秀樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×