東京脱出論

  • ブックマン社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784893089366

作品紹介・あらすじ

東京・大阪・名古屋・福岡・札幌・横浜・仙台・・・大都市にお住いの方に贈る「大都市脱出」のすすめ。
「高い家賃」「狭い家」「通勤ラッシュ」「孤独」「コロナのリスク」「リストラ」などなど、便利だといわれている大都市を脱出し、人間らしい豊かな暮らしをメリットと共に指南する。心の限界を迎える前に、逃げてみよう!

感想・レビュー・書評

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  • 鳥取県にある邑南町。高齢化率43%で主要産業は農業。
    A級グルメの街。

    筆者は邑南町の公務員の寺本英仁さんとの対談を通じて、地方の魅力や東京一極集中の怖さを説く。2020年秋頃の出版なので多少古い部分はありますが、東京一極集中の怖さは変わらないと思いました。疫病が発生したら逃げ場のない状況は特に映画の様なパンデミックを想像してしまいます。
    邑南町については人口1万人あまりの街だからこそ、ひとの顔が見えてくる。
    本作では日本のコロナ禍という事で日本全体を一括にすることに警告を鳴らす。地方の方が人口の制約もありコントロールしやすいのかもしれません。
    また地方では医療崩壊が起きにくいことも、人の顔が見えているからこそなのかもしれません。

    勿論、東京の魅力も大切だと思いますが大切なのは中庸の考え方なのかなと思いました。マスコミによる情報に踊らされるのでなく、自分の目で見て考えることも大切かなと。

  • 藻谷浩介さん、面白いわ

  • 「観光立国の正体」「しなやかな日本列島のつくりかた」と続けて著者の本を読んだので、勢いでいちばん新しい本にも手をだす。

    これは出版された2020年に読むべき本だった。2022年のいま読むと、コロナ対策の部分は古い話に感じてしまう。
    私も在宅勤務が主になり、もう通勤ラッシュの日々には戻れないと思う。コロナにより変わった生活スタイルが崩されるくらいなら、仕事を変えるほうを選ぶだろう。
    田舎の老人のほうが健康、若者は上京に憧れなくなったなど積み重ねられた論拠に納得。

  • 地方での生活の良さをアピールしている本。都会が良いか地方が良いかは、人によって考え方が違うのが当たり前なので、どちらが正しいという事は無いが、田舎で暮らす自分にとっては、著者の意見に同意である。

    以下は完全な私見。
    特にコロナ禍となり、在宅勤務が当たり前になった今、人口密度の高い東京に全く魅力を感じられない。人間の慣れとは恐ろしいもので、便利な生活が当たり前になると、周りの人より良い生活をしたいと更に上の生活を求めるようになる。
    田舎の生活が当たり前になると、特に不便を感じる事なく、自然も多いせいか、すごく住みやすいです。

  • コロナ禍は地方のチャンス。従前の地域活性化は都市部との交流を目指していたが、交流でなく地方への移住、業務の移転で都市部が衰退していくのが現実になりそうだ。

  • p51 今の県は明治時代にいろいろ変更の末にきまったもので、それ以前に1000年以上続いていた旧国(武蔵国、相模国など)のほうが、意外にいまでも実態を伴っています

    p53 東京は氷川神社が多い その本社はさいたま市の大宮にある 大宮という地名は、出雲の国の大社と対になるもので、祭神はどちらも大国主命

    p56 循環参照 群衆が騒いでいるから、この機会に視聴率を稼ごうと番組を増やす。群衆もテレビに煽られてますます騒ぐ
    情報や物体が相互に参照しろと言い合ってループ状になり、答えがでない状態のこと、ここを参照しろといわれたさきには、別を参照しろと支持があり、いつまでたってもゴールにたどり着けない

    p66 理由は一つでなく複合している。その中の有力な一つが、人や建物が密集しているほど、感染の危険が高まる

    p71 欧米経由のウイルスは、もともとは中国起源で同じですが、DNAが少々変異しています。その中にも、鴎友経由、米国東海岸経由、米国西海岸経由と3種あるようですね

    p78 人間が共同主観のみで動く、「皆が怖がるものだけを怖がる」 間主観、相互主観
    フッサールが提唱。「正しい」と皆が思っていることは、皆が「正しい」と認めているから正しいに過ぎないという考え方

    p103 自給自足、物々交換、恩送り

    p112 ここからは、ドイツやスイスのように地域内でお金を回せる田舎と、日本の多くがそうであるように回せない田舎とで、差がついてくるのです

    p150 戦後の大都市の急成長で一番儲けたのは都会の家主です

    p201 マスコミと一般人が、お互いに循環参照して、共同作業で思い込みを強めあっている

    「事実に関心はない、自分と同じ意見が語られるのを聞きたい」という人が多いわけです

    p202 必ず100人に一人くらいは、「なぜ藻谷は自分の意見をおしつけるのか」と起こる人がいます。さんざん数字をみせて、そこから見える事実を説明しているのですが、まあ要するにその事実が、その人自身の思い込みと合わないわけです。彼らは、「自分の思い込みがすべて」という世界に生きていてい、数字の示す客観的事実には最初から興味がない
    思い込みは大衆社会の「神」なのです

    p203 部分最適でしか考えず、手段と目的が転倒するという、日本人の繰り返すお家芸ですね

    p212 今回わかったのは「過密自体がリスク」ということ、「たくさん人がいればいるほど実はシステムが機能しなくなってしまう」ということ。前者を裏返せば、田舎を「過疎」だというのは過密の東京からの偏見で、田舎こそ「適疎」だったのです。後者はようするに、東京はもう「船頭多くして船山に登る」だということですね

    p241 「何かが変わったから、自分が変わるなんてことはありません。ですがしかし、あなたが自分を変えれば、それはあなたにとっては明確な変化です」

  • 島根県邑南町はコロナ出ていないのかなあ。人口一万人だから一人ですと大変。都会の方がいいと思います。ネットがあると思うが、送料などかかるし

  • 島根県邑南町(おおなんちょう)で働く公務員、寺本氏と地域エコノミストの藻谷氏との対談形式の本。

    邑南町は平成の大合併で、羽須美村・瑞穂町・石見町の三町村が合併してできた。

    その役場で課長として働く寺本氏、地域の農作物を上手く活用してグルメで町おこしを成功させた仕掛け人として有名なようだ。

    とかく地方は過疎化、高齢化と暗いニュースが多い中、このような人が地域の活性化のため汗をかいていることは素晴らしいことだと思う。

    また、その素晴らしさを東京都民にも知らしめ、コロナなどをきっかけに東京脱出を促すと言うのが本書の内容だが、話の持って行き方がやや強引なのが気になる。

    地方(本書ではほぼ邑南町)の素晴らしさを説くのは良いとして、東京に対する評価がかなり偏っている。

    曰く、人口密度が濃いためコロナや大震災が起きたら危険だとやたらと煽る。

    それはたしかにその通りだが、東日本大震災の時も原発からの放射能を逃れるために福岡などに本社を移転した会社があったが、結局はそれは大きな流れとはならなかった。

    コロナ禍でも本社を淡路島に移した人材派遣会社もあり、また今回はリモートワークという新たな働き方が出現したことにより、一定の業種では都心にいる必要性が
    薄れていることは事実であり、その点で東日本大震災の時に比べて「東京脱出」の流れは一時的に強まるかもしれない。

    がしかし、コロナもまさに今、渦中にあるため大きな問題として取り上げられているが、数年後まで同じテンションでこれが論じられているだろうか?

    つまり、コロナをきっかけに「東京脱出」する人や企業がそこまで継続的に増えていくだろうか?

    私はその点が懐疑的であり、また逆に本書ではこの点について精緻な論証を行っておらず、やたらと現在の東京の問題点だけを論い、批判のしっぱなしで終わっている。

    もっと地方再生のため、一般的にどのようなノウハウが必要かや、東京だけではなく、近くの都市部などからどのように人を誘引するかを論じるなら、他の過疎化に悩む町村にも示唆を与える普遍性を持ち得たが、本書は話題が「邑南町対東京」に終始しており、話が矮小化してしまっているのがもったいない。

  • ・ドイツやスイスみたいに地域内でお金を回せる田舎と、日本の多くがそうであるように回せない田舎とで、差がついてくる。

    ・田舎を「過疎」だというのは過密の東京からの偏見で、田舎こそ「適疎」

    東京にたまに行くくらいがちょうどいいなと改めて感じる。オンライン対談という手法で本が完成されているのがユニーク。

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著者プロフィール

1964年、山口県生まれ。㈱日本総合研究所調査部主席研究員。1988年東京大学法学部卒、同年日本開発銀行 (現、㈱日本政策投資銀行)入行。米国コロンビア大学ビジネススクール留学、日本経済研究所出向などを経ながら、2000年頃より地域振興の各分野で精力的に研究・著作・講演を行う。2012年度より現職。政府関係の公職多数。主な著書に『実測!ニッポンの地域力』(日本経済新聞出版社)、『デフレの正体』(角川oneテーマ21)。

「2012年 『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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