- Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
- / ISBN・EAN: 9784894565623
感想・レビュー・書評
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私の父は戦争末期、中国中部を転戦していました。
神戸でクダンが生まれたと言う話をその頃に聞いたことがあると私に話してくれました。
「クダンが生まれたのなら戦争は終わり、帰国できるだろう」と、戦友たちと話していたと。
私がこれを読んでいたとき、話してくれました。
父はクダンが何かを知っていたのですね。
そして、クダンが生まれたという噂は現実に広まっていたんですね。
兵庫南部出身の小松左京も噂を聞いていたのでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とにかく、描写が美しいです。着物や帯の柄まで想像しながら読むことができます。
その描写で、描く幻想の物語は時に切なく、時に恐ろしいものでした。
ちなみに「くだんのはは」の「くだん」とは、人へんに牛と書く「件」という凶事を予言する幻獣のことです。女主人の邸宅に住まわせてもらうことになった「僕」が出会った不思議な出来事が綴られています。これは、噂に違わず名作でした。件が作り出すエピソードをうまく処理しているな、という感じ。
他に印象に残ったのは「流れる女」です。「私」と義父と息子がそれぞれ心を惹かれた女性に出会い、互いに引き合わせようとするのですが…という話。
わたしの拙い説明よりも、まずは読んでもらった方が早いと思うので、ぜひぜひ読んでみてください。 -
小松左京と言えば、日本を代表するSF作家さんですが、全く読んだことがありませんでした。日本沈没とか復活の日は映画では見たことがあっても、原作も読んだことがなかったので。表題の「くだんのはは」と言う作品をどなたかが勧めていて、読んでみました。女シリーズという「○○の女」などの作品が収められていて、表題作は不気味な怪談話で面白かったです。他にも流れる女や蚊帳の外など、面白かったのですが、時代背景や旧い言葉が難しくて。読むのに骨が折れました。
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いろいろな意味で超有名な話。
「くだん」 今でも使います・・
あんな恐ろしい話は聞いたことがないのですよ。 -
ちょっと前に読んだスチームオペラの後書きで、推奨されていた「お糸」が読みたくて図書館で借りた。
女性をテーマにした短編集で構成されており、「お糸」以外は怪奇小説に分類されるのだと思う。後、内容的に「R指定」のものが多数含まれている。
「お糸」は、日本版スチームパンクであって、江戸時代にテレビとか飛行機(飛行船)が登場する。最後の締めくくりがあっさりしていて、ちょっと残念だったが、発想が斬新でおもしろかった。
なお、最近の売れ筋の小説は、会話が多かったり、段落が短かったりして読みやすいが、この小説はびっしり書いてあり、読む力がないと息切れするかも知れない。町の描写など、ここまで書くのかというぐらい緻密に記述されていて、知らない町だと想像するも大変だった。 -
初 小松左京! 面白かった。
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薄暗い行灯の下で見る、目も綾な着物に端唄…時代がかった町や女性の描写に酔いそうになる。
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大変読み応えのある短編集でした。
戦争ものが多かった。
じわじわゾクゾクします。凄い。 -
読了年はおおよそ。
底本は多分角川文庫。そちらで読みました。
この人は怪談と古典を絡めたSFを書かせればきっと世界でいちばんうまい。
戦時中の暗い時勢を背景に、京都のひっそりと広大な屋敷の恐ろしい秘密。犯罪も行われず、呪いも恨みもなく、しかしただひたすらに怖い。
この小説が好きだという方には同著者の「天神山縁糸苧環」もオススメ。