Y (ハルキ文庫 さ 4-2)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 970
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784894568587

感想・レビュー・書評

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  • 人生のやり直しができれば・・・と思ったのは誰でも経験があると思います。

    43歳から18歳に戻って、人生をやり直すという設定の物語です。
    ただし、主人公は人生をやり直す男ではなく、その友人。

    ふたりは1度目の人生では、親友同士であったが、2度目では親友ではない。
    その親友でない男から渡された物語と、主人公の生活とで話が展開していきます。

    元ネタはケン・グリムウッドの「リプレイ」のようですが、また違った雰囲気の物語です。

  • 直木賞作家なのに未読とはイカン、勿体無いことをしたかと思い、図書館で見かけて貸出。


    うーん、残念ながら私には合わない作家さんなのかな。

    取り返しのつかない出来事をやり直したいと願う男、そのことで変わる何人かの男女の運命…というテーマだが、ただ思考実験のよう。
    作中でふれられる「リプレイ」はもちろん、SFなら「クロノス・ジョウンター」で、非SFなら「ターン」で、もっと登場人物は熱くせつなく描かれていた。
    タイトルのYについてはナルホドね、と思ったが、そこを読んでからは頭の中に「今日の選択は〜♪」とBGMが流れて、ますます作品の中に没入できなくなってしまった。

  • 時空を越えて未来から戻ってきた男が、何とかして電車の事故から大切な人を助け出そうとする話。設定は少しベタなところもあったが、話はなかなか面白かった。もっと効率的に対処すればよいのにともどかしく感じる部分はあった。

  • マトリックスやパラレルワールドラブストーリーに模した設定で、日常に対する違和感や疑問がストーリーを動かす。
    ある日突然の友人からの電話を皮切りに、託された手紙から紐解かれる謎と、人間関係やつきつけられた現実、何を信じたらよいかわからなくなる、この辺りは秀逸。

    ラブストーリーではない感、どこか他人事感があり、もう少し主人公が感情を激しく揺さぶられたなら、感情移入できたかと思うが、全体としては面白く一気に読めた。
    最後があっさりだった気がするが、会話から少しずつわかる事実と緻密な筋書きは、シナリオとしても魅力的と感じた。

  • 単行本が1998年刊なので約20年前の作品ですが、本作の中核を成す超常現象および、SF・ミステリを前面に出しつつ実は恋愛小説だったという体裁から考えると、直近の直木賞受賞作『月の満ち欠け』と相似形をなす作品となっているように感じました。
    本作の読みどころは構成の上手さです。北川健に起きる事象自体は、先行作品もありさほど目新しいものではありませんが、それに付随する伏線、登場人物各々の背景およびそれらが明らかになる過程が非常に凝っていて面白かったです。バックギャモンを人生になぞらせるくだりのように、本筋とは関係ないところで時折出てくる小ネタも味がありました。
    星を一つ減らしたのは、第九章で顕著にみられるように、ご都合主義的な展開が散見されたからです。例えば私だったら事前に詳細を調べて、事故自体をなかったことにするよう行動すると思います。主人公が北川のことをずっと思い出せないのも不自然。もっとも、このあたりは人知の及ばない大きな流れの中に我々がいることによる、と解釈すれば大した疵ではないのかもしれません。
    本作に登場するキャラクターは、既読の作品のそれとほとんど変わらないように感じました。男性の主人公には時々びしっと決めてほしいなあ、とじれったい気持ちを覚えることがあるのですが、何作か読むうちにそういう作風の方だししょうがないか、と思えるようになってきました。これを安定した作風ととるか、芸が無いととるかによって、佐藤正午作品についていけるかどうかが決まるような気がします。

  • タイムループもの。1998年刊行。
    流し読みに近い読み方をしてしまったので、語り手の「私」が誰で、彼女が誰なのかごっちゃになってしまった。話も、語り始めの時代も複雑だった。
    至るところで、交錯する男女。それは縁でも運命でもなく、ここまでくると必然なのかもしれない。

  • パラレルワールドものはあまり当たりがなくて好まないけど、これはおもしろかった。少し痛くほんのり甘く、中年男の悲哀。いい話でした。ヌーベルバーグの映画を見たくなりました。今ならもっと鑑賞できるかもしれない。著者は映画が大好きなのですね。きっと。

  • 読み始めはわけがわからず、フロッピーディスクの中身が退屈に思えた。
    少しずつ中身が見えてくると、その複雑さに魅せられ読み進めることが出来た。
    縁はあると思う。

  • どこかで読んだような、映画で見たような、既視感を感じる内容。
    でも内容よりも、この主人公の苛立ちを隠しもしない物言いが成熟してなくて生理的に受けつけない。こんなイヤな主人公いたなあ、確か「鳩の撃退法」の精神年齢中学生の主人公。
    と、思ったら同じ作者だった。

  • この本から感じたことは、
    ・人生の岐路は必ずあるが、実は今の現実を受け入れ、それをどのように生きるかを決意することが大切であること。
    (タイムマシン的な小説や映画がそうであることが多いように、自分の都合の良いように現実を変えることは、結局は難しいのではないかと思います)
    ・人の縁があるということ
    (「誰かにとって誰かは変えることができない」・・というような言葉が出てきます。両親も妻も子供も友達も自分にとって、大切な縁で結ばれているように感じました。自分の縁が結び付けたものなのでしょうね)

    ※再度の答え合わせは大好きな場面です。最後はとても面白かった。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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