- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784895726306
作品紹介・あらすじ
切手にコイン、人形やジュースのびんのふた。みなさんも集めたこと、ありませんか?わたしの父は、石を集めていました。まわりの人たちはいいました。「あいつは、ポケットにもあたまのなかにも石ころがつまっているのさ」たしかにそうなのかもしれません-2001年度ボストングローブ・ホーンブック賞。ノンフィクション部門オナー賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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小さい頃から石ころに取り憑かれていた作者のお父さん。ずっと貫き通して博物館の館長さんになる。幸せな人生だったね。
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好きなものは、好きでいい。
他人がなんと言おうと。
自分の中の"好き"を、認めて貫く。
作者のお父さんについて書かれたノンフィクション絵本。
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好きなものが石だった彼。
だからそれをずっと集めて学んで、また集めて。
時代は変わる、価値観も変わる。
でも彼はどんなときも、好きなものを好きでありつづけた。
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父は、子どもの頃から石を集めている人だった。
まわりの人たちはそんな父を見て言った。
「あいつは、ポケットにもあたまのなかにも石ころがつまってるのさ」(引用)
でも父は、オトナになっても石を集め続けた。
石の種類や、場所を書いたラベルも貼り、自作の棚に石を飾った。
石を集めることは、父の一部だった。
そして…
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このお父さんには、石を集めて仕事につなげようとか、詳しくなって有名になろうとか、そうした私欲がいっさいありませんでした。
ただ、本当に石が大好きで、石について調べるのが好きで、飾って眺めるのが好きで、ただそれだけだったのです。
好きなものを追いつづけると、そこにばかり目がいってしまい、暮らしがおろそかになったりします。
けれどもこのお父さんは、この絵本を読む限りでは、そんなとこはありませんでした。
お父さんは、石集めばかりして働かなかったわけではなく、ちゃんと仕事をして、その隙間の時間で石を集めていました。
欲張らず、ただ好きなことを、好きであり続けること。
暮らしの中の一角で、好きであり続けること。
それはある人にとっては、とても難しいことだし、その時その時で「なんて無駄で役に立たないことをしているんだ」と批判されたりもします。
でも本当に好きなことは、まわりから何を言われようと、どうしても止められないことなのだと思います。
時代が変われば価値観も変わります。
疎まれていた好きなことが、やがて羨望のまとになることもあります。
そしてその逆もありえます。
時代は変わるものですから。
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好きなことを続けていれば、必ず報われるかと言われれば、そうではないと思います。
そもそも「報われる」ことを期待してはじめたことは、好きなこととは呼べないのかもしれません。
「報われること」を望むということは、自分がやっていることに対して、それ相応の目に見える評価・金銭などの対価を望むということです。
でも、この絵本の主人公であるお父さんは、最後の最後まで「報われよう」とはしていませんでした。
ただ、好きなことをずっと続けていた、ただそれだけなのです。
この絵本が伝えたいのは、「好きなことを続けていれば、必ず報われる」ということではなく、「好きなことを続けていれば、自分のしあわせが生まれる」ということではないかと思いました。 -
こんなにも幸せな気持ちになる絵本もあるのだなと、胸がじんとしてくる。
娘が父のことを語った、実話である。
いつも頭の中が大好きな石でいっぱいだった父親の足跡を追ったもの。
ちょっと可笑しなタイトルからは想像もつかないほど、その内容は真摯なものだ。
夢を持つことの大切さとか、好きなことを追い続けることの喜びだとか、解釈は様々だろうが、学ぶ事と学び続けることの幸せが、父の半生の中に描かれている。
他人に「頭の中には石がいっぱい詰まっている」と評されることがあっても「うん、そうかもしれないね」と答える父親の答えが何度も登場する。
家族を養い、大恐慌を乗り越え、大学で学ぶことさえ出来なかった父が、どうやって最終的には博物館の館長さんになったのか。
好きなものへの情熱を失わなかったことと、独学で得た博識さがあったからだ。
どんな状況でも学ぶことを諦めなかったのは、未知のことへの畏敬の念があったからだ。
「尊敬に値する」・・しみじみそう思う。
そんな父を愛してやまない著者のあとがきまで読むと【父ほど幸せな人生を送った人を、わたしはほかに知りません】という一行に出会う。
ああ、この言葉こそ言いたかったのだなと分かったときに、まぶたの奥が熱くなってきた。
自分の親を、このように振り返ることができる彼女こそ、幸せな人だ。そう思う。
約12分。中学年以上の方が理解しやすいかも。
自分の将来について漠然とでも考え始める年齢にこそ、ふさわしいだろう。 -
石が大好き!
いろいろな時代の波にもまれながら生活しつつ
好きな石を集め、調べ、コツコツと独学で学んで、
皆にはガラクタを集めてなんになるんだといわれながらも
好きな石のことばかり考えていた作者の父。
学がないながら、博物館の館長さんに認められて、
夜の管理人の仕事に就かせてもらう。
さらに、地道な努力をつづけ、
「学ぶ」ということそのものをこよなく愛し、尊重して、
ついには博物館の館長さんに就任したお父さんのことを書いた実話。
読後感がとてもここちよい、心がほんわか。 -
タイトルからはちょっと想像のできない絵本だった。やはり、気になる本は読んでみないと。
趣味と独学で石を集めることに没頭していた男の人が、大恐慌を潜り抜けて博物館の夜間管理人になり、学術部長をへてついには館長にまで上り詰めるという夢のような、でも、ほんとうにあったお話。作者はその人のお嬢さん。
好きなものを極めると思いも寄らなかった未来開けてくる。
「オタク」を忌避するお母さん方に読んでもらいたい。 -
2001年度ボストングローブ・ホーンブック賞
ノンフィクション部門オナー賞
石ころ集めでも何でも、好きなことをとことん突き詰めていくと辿り着ける素晴らしい未来、そんな希望が持てるお話でした。
石ころというか、集めているのは鉱物、宝石で、様々な石の名前が紹介されています。
語り手が主人公ではなくその息子なのが分かりにくく感じました。 -
石(鉱物)が大好きで、石集め(鉱物の収集)やその勉強に情熱を傾け続けた主人公。
両親や周りの人にはその価値がわからなかったけれど、否定はされなかった。そのおかげで、景気が悪くなり仕事を失った時にも細々と続けることができた。
雨の日などに通っていた科学博物館の館長さんの目に留まり…チャンスを掴むことがてきた!
主人公の「ただ、好きだからやっている」という姿勢が押し付けがましくなく、周りから手を差しのべられるに至ったのかなぁと思った。 -
ある1人の父親を、娘の目線から描いた実話に基づく絵本です。絵本という体を成していますが、大人が読んでも本当に楽しめます。
物語は世界恐慌が起こる前後のアメリカ。ある1人の石ころを集め続ける男性が主人公です。彼はどんな境遇になっても、大好きな石ころを集めることをやめません。
どんなに人にバカにされても自分の好きなことを貫き通す強い意志。そしてそれを止めずに見守る周囲の人たち。そしてラスト、そのことが彼の運命を動かしていきます。
絵本ですから文章自体は長くなく、本を読み慣れている人ならあっという間に読めると思いますし、読み慣れてない人でも読み切れる量と内容です。
好きこそものの上手なれ、継続は力なり。
自分や人の好きなこと興味があることを大切にしようと思える1冊です。 -
Vログにかわり、まさしくブクログな1冊
好きなことをやめさせずに、とりあえずやらせてみたい