- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784895860192
感想・レビュー・書評
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筑波大学教授、池田潤 著。
筑波大学の大学院科目「現代ヘブル語文化研究IA」「現代ヘブル語文化研究IB」「現代ヘブル語文化研究IIA」の指定参考書。
要点と現実問題とのバランスが良い。
文法の要点を絞ってシンプルにまとめられており、速習できる。簡単な例文を示して比較しやすく、練習問題が章末に付されている。一方で、よもやま話に興味を惹かれる。文字の成り立ちの由来から、著者のイスラエル生活のエピソードまで語られ、簡素な語学テキストでは決して無い。
文法の原則から外れた、踏み込んだ内容にも言及する。書きことばと話しことば、お堅い文章とくだけた会話の違いや、詩的表現が比較・紹介され、実態がわかって良い。小説から抜粋した長文読解や、聖書の精読に丁寧な解説が付き理解が深まる。
文字には母音記号を付けず、代わりにローマ字でルビが振ってある。ヘブライ語では文字は右から左に書くのに、ルビは左から書かれていて読みにくいのが残念である。日常的に使われる白文に慣れるためには、どうせならルビは赤字にして赤シートで隠しながら確認できると効果的だったのではないかと思う。
目次
○ヘブライ語の話
1.ヘブライ語はどんな言語か
2.ヘブライ文字の起源
3.ショレシュ(語根)の力
4.ヘブライ語・イスラエル・ユダヤ人
5.奇跡のリバイバル
6.イスラエル式コミュニケーション
7.外来語を嫌うヘブライ語
○ヘブライ語の手ほどき
8.文字と発音
9.構文①
10.代名詞
11.名詞
12-13.時制
14.修飾①
15.数字
16.休憩:ヘブライ語の時間
17.ビンヤン
18-19.弱変化
20.不定詞
21.修飾②
22.構文②
23.その他の事項
24.休憩:ヘブライ語のスタイル
25.長文読解
○聖書を読む
26.現代ヘブライ語で聖書は読めるか
27.聖書ヘブライ語の時制転換
28.ふたつの創造物語?
29.創世記を読んでみよう
30.聖書の詩文を味わおう詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どちらとも言えない.良い所もある.本書はタイトルからして“ヘブライ語へのいざない”といったところ.そこそこ踏み込んでいて勉強にはなった.しかし,どれも説明が中途半端で完結せず,混乱させられる節があり,評価に困る.
本書は入門書以下でかつ単なる紹介以上,といったところか.たとえば本書が英訳されたとすれば,ほとんど誰も買わないと思う.英語であれば,独立した立派な聖書ヘブライ語の入門書が幾つもあるからだ.結局,日本語で読めるということが一番の取り柄になる.あと最初の四方山話はそこそこ面白い.
現代ヘブライ語が中心であって,聖書ヘブライ語は第三部で30ページほどしか扱われない.日本の「ヘブライ語」とタイトルにある本はほとんどそう.聖書ヘブライ語の学習だけを志すなら,やはり英語で書かれた入門書を手に取ることになる.本書は副読本の一冊としてあると良いのかもしれない.