産めないから、もらっちゃった!

著者 :
  • メタモル出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784895958349

作品紹介・あらすじ

特別養子縁組で家族になったメイプル家のお話。

感想・レビュー・書評

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  • 乳児院 児童養護施設に子供はたくさんいるのに…
    養子里親の希望者もたくさんいるのに…
    なぜ特別養子縁組が進まないのか…

    やっぱり日本人の心の中にある「抵抗感」なんでしょうね。
    それはきっと差別とかじゃなくて
    「養子」って聞くと
    かわいそう…
    苦労したんだね…
    というステレオタイプがあってどれだけ幸せだよアピールしても無理してると受け取られちゃう風潮があるというか。

    今は手放さないといけなくても
    いつかは迎えに行きたい
    少しの間だから…
    と待たせているうちに産みの親に別の生活ができてしまう。
    それは迎えに行きたいと思うのも真実で
    でも預けている間に好きな人ができて別の生活ができてしまうのも真実。

    ただこの本は難しく考えないでも心が温かくなれる本です。
    ぜひ一読して欲しい本でした。

  • この本のことは、『支援 vol.3』(特集:逃れがたきもの、「家族」)のブックガイドで知った。こないだ図書館に入ってるのを見つけて借りてきた。表紙イラストから、なんとなく中はマンガかな~と思ったりしたが、中は縦書きの文章だった。もとは、著者がブログに書いたものを加筆・再構成して本になったものだそうだ。

    『赤毛のアン』が大好きで、大嫌いだったという著者は、特別養子縁組(※)でもらった子を「アン」、夫を「マシュー」、一家を「メイプル家」として、アンシリーズを思わせる章タイトルや小見出しをつけて書いている。

    「子どもをもらう」ということは、たぶん昔は(少なくとも私の祖母の若かった頃は)そんなに特別なことではなかったのだろう。母方の祖母(生きていたらもう百歳を越える)は、結婚してからなかなか(6年くらい)子どもができず、「もらい子」をしようとしていたときに、ひょっこり「子どもができた」という話を、孫にときどきしていた。そういうわけもあって、祖母は当時としては晩産といっていい年齢で子どもをもった。

    この本は、うさぎママが主語の内容がほとんどだが、うさぎママと話すかたちでアンの思いも入っていて(アンからの手紙も1ページある)、その中でも〈養子に出すという選択肢〉のところが、よかった。

    アンの友だちの予期せぬ妊娠…彼と別れようかと迷っているのに赤ちゃんができたかも?という話題について、うさぎママとアンの間でこんな会話が交わされている。

    ▼ア「本人がいないときに、あたしが選択肢のひとつとして、産んで養子に出すっていう方法もあるよって言ったんだけど"あり得ない~。自分の赤ちゃんをほかの人に渡すなんて考えられないよ"と全員に即却下されちゃった」
     う「産んで育てるか、中絶するかの二者択一なの?」
     ア「うん。普通はそうなんだね~」(pp.154-155)

    「子どもを養子に出す」なんてあり得ないから、「産むか/中絶するか」という発想になるらしい。アンは「割り切って養子に出すと決めて産んでくれたら、新しいママが見つかるのにね」(p.155)と言い、うさぎママはそれに対して「うん。でも、養子に出すってことがわからないから不安なのかも?」(p.155)と答えている。

    そもそも「こういう選択肢もある」ことを知らないからか、このあとに収録されている「アンからの手紙 この本を読んでくださったみなさんへ」で指摘されているように、現状では

    ●妊娠したけど育てられない場合→中絶手術を受ける
    ●赤ちゃんができない場合→不妊治療をする、またはあきらめる (p.164)

    という考えしかないようなことになっているようだ。「養子に出す・養子を育てる」があり得ないことではなくて、養子は悲しいことでも辛いことでもないと理解して、「養子を選択肢に加えていただけたらうれしいなと思います」(p.164)とアンは綴っている。

    希望者はいても、特別養子縁組の成立件数はなかなか増えないという。その理由について、巻末のインタビューの中で民間団体「アクロスジャパン」代表は、こう話している。

    ▼…公的機関の中には「どんな状況でも産みの親に育てられるのがいちばん」という考えがベースにあって、特別養子縁組よりも、まず養育里親を増やしたいという考えのところも多いようです。予期せぬ妊娠に困った女性が児童相談所で「養子に出したい」と伝えても、「まずは施設に預けて、育てられるようになったら引き取ってはどうか」とすすめられると聞きます。(p.177)

    「中絶か/不妊治療か」になってしまうのも、児相などが「産みの親が…」と考えるのも、なんだか根は同じような気がした。そこには「血」があるのだ、きっと。『ねじれた絆』のような、意図せずに子どもの取り違えが起こってしまった場合とはまた違うのだろうけれど、「育てか、血か」というと、この本は、明確に「育て」による親子の縁を書いている。

    著者もまた、3歳で実母と別れ、二度目の母(アンにとってのパインおばあちゃん)に育てられている。しかも、自身が若い頃にはうまくいかなかったその母との関係が、祖母のことが「大好き」というアンによって、ふたたび結びなおされた。

    ▼思えば不思議な関係です。パインおばあちゃんとうさぎとアン、こんなに深く関わってきているのに、ひとりとして血のつながりがないなんて。(略)
     若い頃は母に心を開くことができず、なんとなく無視したこともあったうさぎ。でもアンが、私と母との絆を結び直してくれました。最近ではふたりでお出かけをして、いつでもアンのことでおしゃべりが弾む私たち。今は素直に母の健康と長生きを願っています。(p.124)

    私は、手話をやってるとよくある自己紹介のなかでも、「家族の紹介」があまり好きではない。それはたぶん「家族」というときに「血」や「制度」でスッキリした気がしないからやろうなーと、この本を読んで久しぶりに思った。

    ※特別養子縁組…「家庭に恵まれない子に温かい家庭を与え、その家庭の中で健全な育成が図れるようにすること」を目的に、1987年の民法改正で新設された制度。縁組には「6ヵ月以上の試験養育期間」「子どもの年齢制限(原則6歳未満)」「養親は夫婦に限る」などの条件があり、家裁に申し立てをし、家裁が養親の調査をしたうえで、実親の同意を確認して認容か却下かを決定する。認容されれば、戸籍上も養親の実子になる。

    「特別養子縁組」は、制度としては最大多数のよさそうなところを取って線引きしてるのだろうけど、養親は「婚姻している夫婦に限る」というようなところは、それも一つの偏見よな~と思ったりする。

    表紙や中のイラストを描いているのは、『いつか見た青い空』や、『きみとうたった愛のうた~児童養護施設でくらしたあの頃に~』の作者・りさりさん。

    (6/18了)

    *出版社のサイトより
    産めないから、もらっちゃった! ●まえがき
    http://www.metamor.co.jp/maegaki/umenaikara.htm

    *[裁判所]のサイトより
    ・特別養子縁組成立
     http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_09/
    ・特別養子縁組成立の申立書
     http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_09/

  • 女性の初産の年齢が高くなっているとか、不妊に悩むご夫婦が
    増えているとか、妊娠・出産に関係するニュースが年々増えて
    いるように思う。

    以前、不妊治療の現場を取材させてもらったことがある。あれも
    結構過酷なんだよね。着床までは行くけれど、何度か流産した方に
    話を聞いた時にはこちらまで泣けて来た。取材者としては失格なん
    だけど。

    子供が欲しいけれど出来ない。不妊治療以外にも手段はある。その
    ひとつとして視野に入れたいのが特別養子縁組だ。

    本書は24年前に特別養子縁組を行った方のブログの書籍化である。

    お子さんが養子だからという意識では読まない方がいいと思う。確かに
    養子を迎えるまでの過程や、養子であることをどのタイミングでどの
    ように伝えるかは書かれているけれど、いかんせん、ほとんどは過去の
    お話。

    養子であろうと実子であろうと、子供を育てることに変わりはない。
    なので「子育て経験ブログ」として読んだ。

    私にも養子だと明らかにしている友人がいる。彼女を見ていると、
    親との相性とかって養子も実子も関係ないように思うのだ。血の
    繋がった親の手元で育てられた人でも、親と上手くいかないケースも
    あるんだしね。

    誰もが本書の著者の家庭のようになれるはずもなく、これはひとつの
    モデルケースと受け取りたい。

    書籍化にあたって加筆されているようだが、元のブログを知らないので
    なんとも言えないがいわゆるお笑いの「ノリ突っ込み」が繰り返される
    文章は読んでいて萎える。

    「うさぎは…」「○○なうさぎ」のような表現にもいささかうんざり。
    ブログで更新ごとに少しずつ読むならいいが、書籍としてまとまって
    読むには辛かった。

    気になったのは単身赴任期間が長かったとはいえ、男親の存在感が
    まるで感じられなかったこと。著者だけが子供と接した来たように
    錯覚した。

    巻末にある特別養子縁組に関する資料と、民間団体へのインタビュー
    (著者が行っているものではない)は参考になる。

    「養子だから可哀想」。残念ながらそういった偏見は明らかに存在する。
    そんな偏見に一石を投じる作品なのかもしれないが、ブログそのまま
    ならは書籍にすることもなかろうと思ってしまった。

  • 明るい特別養子縁組家族。ブログが書籍化されたもの。よって、文体は軽い。ちなみに、お子様は書籍化時点(2012年)で24歳?の社会人のため、非常に昔の話。

    ひとつの家族のあり方。親目線、養子本人目線の両方の記載があり、よかった。3歳の時の告知に始まり、養子であることを隠されずに育ったアンちゃん。本人の記載を見ると、自分は養子で周りと違うということを意識していなくても、周りからの評価(かわいそう)に戸惑うとのこと。産みの親に対してのドライな感情も、養親に愛情たくさん育てられたから、また養親に物心つく前から育てられたことが影響しているのかな、と思う。
    色々辛いこともあったのかもしれないが、自分が産んだ子がいない分、養子と比べようがない!ということで、クヨクヨせず前向きに明るく子育てをしていた(ように読める)著者は素晴らしいと思った。

  • 特別養子縁組の実話。

  • 家族
    ノンフィクション

  • 特別養子縁組で赤ちゃんを迎えた著者の同名のタイトルのブログを加筆したもの。
    不妊だった著者は、夫と相談し養子を迎えることに。
    その経緯、そして養子となった我が子の成長を綴っている。
    実子とは違う悩みがあったりはするが、基本的には他の家庭と変わらない。
    著者の素晴らしいところは、養子ということをオープンにしたこと。
    悪いことをしているわけではないから、隠す必要はない。
    というのは、まさにその通りで、隠すことによって子供の方で自分を卑下してしまうことだってあるだろう。
    ただ、伝えるタイミングなど細心の注意も必要だと思う。
    その点、著者のうさぎママはブレることなく、自身の考えをしっかりと持っていて感心した。
    この家庭のようにうまくいくとは限らないけれども、養子を育てている人や、育てようとしている人には希望となるのではないだろうか。
    養子縁組を考えていない人も、彼らが実子のいる家族と変わらないということを知ることができると思う。

    養子縁組をするのには高いハードルがあると聞いたことはあったけれども、条件面だけではなく、順番待ちがあるということは初めて知った。
    また、(団体によるが)年齢制限も思ったより低くて驚いた。

    巻末に「特別養子縁組の現状と手続き」が記載されていて参考になった。

  • 内容はよかったけれど、文体が気に障る。10代20代の若い子が書いてるならまだしも。
    話としては重いものだから、あえてそう思われないように書かれているのかもしれないし、ブログを書籍化したものということだから、仕方ないのかな。
    でも、書籍化にあたって手直しをしたそうなので、そのあたりも一般に受け入れやすい書き方にかえれば、もっと共感できるものになったのではないかな。

  • ■2014.05 新聞

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