- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896373790
感想・レビュー・書評
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マイクロマガジン社の「日本の特別地域」という「地域批評シリーズ」のムックはたくさん出ていて、この立川市編が30号目だ。人気もあるようで、『これでいいのか東京都杉並区2』のように同地域の第2弾が刊行されるケースすらある。
当該地域を礼賛するだけの観光ガイドは山ほどあるが、このシリーズのように辛口の地域批評本で、なおかつ観光ガイドにもなるというものはなかった。その“すき間需要”にうまく目をつけたということだろう。
私は、このシリーズを実際に読むのは初めて。立川市に住んで四半世紀になる私も知らない情報がけっこうあったから、よく調べて作っているといえるだろう。
また、「立川断層」や「立川広域防災基地」(米軍基地跡の広大な空き地を利用して、霞が関が災害でダメになった場合の“バックアップ拠点”が作られている)について大きく取り上げており、その点はとてもよかった。
しかし、ムックとして質が高いかといえば、ちょっと疑問。
まず、差別すれすれ(地域差別や職業差別など)の記述が多い点はいかがなものかと思う。行政に対して「辛口批評」であるだけならいいのだが。
それに、誤字も目立つし、文章が不自然な点や言葉の誤用も散見する。たとえば――。
《そうしたオッサンの風体はたいてい乏しく、ベロンベロンの泥酔状態で通行人から邪険に扱われるのが通例なのだが(134ページ)》
風体が乏しい? たぶん、貧乏の「乏」だからということで、「みすぼらしい」という意味で誤用しているのだろう。
《この看板は子供たちへの挑発行為であり、わざわざエスコートしている(132ページ)》
看板がエスコートする? たぶん、「エスコート」を「誘発している」という意味だと勘違いしている。
71ページに図表が2つあって、2つに同じタイトルがついている。つまり、片方はタイトル間違い。
《60~70年代に「立川グループ」が跋扈(ぼっこ)していたり(92ページ)》
跋扈は「ばっこ」と読みますね。これはケアレスミスだと思うけど。
……と、そんなありさまなので、「本書のデータや情報もあまり信用できないなあ」と思ってしまうのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
砂川がなぜあれほど未開なのかがわかって面白かった。砂川の大地主が立川市の政治を牛耳り、旧立川市で稼いで旧砂川町に落とす構造になっているから、未開の地のままでもOKというわけ。個人的には、あの辺りは何の特色もなければ景観として優れているわけでもないので(住人は否定するだろうけど)、もっと開発してほしい。