- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896915730
作品紹介・あらすじ
日本人以外の外国人はソウルでどんな目に遭ったのか?白人だというだけで「アメリカ人は国に帰れ!」と排撃されたドイツ人。同胞であるはずの中国朝鮮族・在日韓国人が受ける差別。韓民族をあれほど自画自賛するのに、国を捨て移民になる者が後を絶たず、世界一の孤児輸出国であるという謎。華僑が「世界で唯一成功できなかった国」と語る韓国が抱える病理とは?ソウルに住んで十余年になる著者が体験し見聞してきたなまなましいエピソードが明らかにするアンビバレントな韓国ナショナリズム。友人だからこそ言える、いきすぎる韓国人への苦言。
感想・レビュー・書評
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さくっと読み終わったが、いかにもまずいタイトルに相違して、なかなかおもしろかった。とくに、「阪神大震災」についての反応を、韓国の国内で見届けた顛末などは新鮮。
日本人は「愛国心」が足りないという向きもあるが、おとなりにたいへん愛国心が豊かな国があるのだから、その国から学ぶものがあってもいいと考える。この本にはイギリス・オランダなどから韓国に来た留学生の話や、韓国内での華僑の話も紹介されているが、これはなかなか他の本では読むことのできない視点だと思う。
愛国心の涵養というと聞こえはいいが、それによって見えづらくなるものもある。「韓国人のナショナリズムを私たち日本人がどう考えるか」は、ひるがえって「日本人のナショナリズムを外国人がどう考えるか」という問題に通じるだろう。韓国人への筆者の(愛ゆえの)直言は、ただ溜飲を下げんがための韓国本とは、ひと味違う味わいを供している -
主に90年代に韓国で10年ほど暮らした著者の体験談から発展させ、韓国に住む外国人から見た韓国ナショナリズムを描いている。
私が始めて韓国の地を踏んだのが2000年なので、それよりも10年も前の韓国のナショナリズムの強さは今の私には想像できないほど強かったのだろう。・・・今でもかなり強いのだから。
排他的なまでの韓国ナショナリズムに接した外国人の視点を、日本人だけでなく西欧人の視点を通しても描く。
韓国ナショナリズムに反感を覚えることで、また自らも日本ナショナリズムへとひっぱっていかれることに対しても抵抗感を覚えつつ、日本にも韓国にも偏らないように生きようとするあがきがナマナマしく伝わってくる。そして、韓国に住む外国人として強く共感する。
読んでいると胸が締め付けられるような悲しみに襲われる。韓国社会で生きようと試みた外国人の苦しみが。悲しみが。常に排除されながら生きる外国人の悲しみが、今の私にはよくわかるから。それは怒りではない。ただ、悲しいのだ。
そして同時に、この悲しみは外国人だけのものではないと思う。この本は、韓国人の悲しみもそこはかとなく漂わせている。
時にはコミカルに、時には批判的に、時には同情的に描かれた、韓国ナショナリズムを知る本。
自分の中のナショナリスティックな部分を考えるのもいいかもしれない。