- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896917093
感想・レビュー・書評
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編者の鈴木さんは、警視庁で声紋分析を手がけてきたエキスパート。他の二名も工学系で、声の個人認証などを手がけている人たち。
第一章 声とは何か
声について何も知らない、わたしのような読者にも、基本から知ることができる。
周波数が高ければ声が高いかというと、そう単純ではないという話が面白かった。
フォルマント(基本周波数のまとまり方)次第で、基本周波数の高低とは違う印象につながることがあるという。
第二章 声から何が分かるのか
声を周波数で分析する手法を考えたのは、フーリエ。ゆえに、周波数によって声を分析することをフーリエ分析という。
声から出身地域や年齢や体調が読み取れるというのは、何となくそうだろうと予見できたが、職業までとは・・・。しかし紹介される事例が少なく、まだ納得がいかない気がする。
第三章 日本人の声を知る
本書によれば日本人は声が高い、という。
体格の小ささと、湿潤な気候(声が響かない)のため、コミュニケーションのために高い声が選ばれたのだか。
東アジアの人々が一般に声が高い、とまで言ってしまうと、住環境の違いが大きすぎて、ちょっとその仮説正しいのかな、と思えてしまうが。
近年の傾向としては、男性は高音化し、女性は低音化しているという。その理由として、女性の身体が大きくなり、声帯、共鳴体自体が変化したとする。しかし、男性の場合は、社会的な説明(社会進出してきた女性とコミュニケーションを取る機会が増えたため)としているが・・・。これまた他の仮説も成り立ちそうだ。
ただ、音域の高さとは別に、周波数的に高いかというと、日本語はそうではないという話は面白かった。
英語やスウェーデン語などは、子音の部分に、音として認知できない高周波な音が含まれているという。
それから、日本人はいわゆる「だみ声」も、枯れたいい声という評価軸があるという点も、非常に興味深い話だった。
第四章 声に何ができるのか
1/fゆらぎを持つ声とはどのようなものかが解説され、それを持つ歌手としてエンヤ、美空ひばり、ナット・キング・コール、バヴァロッティらだという。
元ちとせのこぶしや、宇多田ヒカルのちりめんビブラートの秘密にも切り込んでいて、お話として楽しく読んだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
科警研で声紋の研究をしていた著者の、長年の研究から声そのもの、そして日本人の声の特徴についての考察をまとめたもの。
実のある話でわかりやすく面白い。ただ、勘に頼って書いてしまっていると感じる部分も散見でき、そこは面白くなかった。
声についての知見を拡げてくれる一冊。 -
分類=発声・日本人。03年3月。