図説 ゲルマン英雄伝説

著者 : アンドレアス・ホイスラー 吉田孝夫

• 八坂書房 (2017年8月25日発売)

感想・レビュー・書評

[金城学院大学図書館さんの感想 · 2022年5月31日]

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[ヤヌスさんの感想 · 2018年2月21日]

年始から今朝にかけて、ゆっくりと読んだ。本書はベオウルフやウッフォ、何よりジークフリードをはじめとした、ゲルマン民族を代表する英雄たちの伝説を集めた本である。解説書や研究書というよりも、英雄伝説を蒐集し、その元来の様相の復元を試みる形で再話している。そのため、内容としては楽しく読むことのできるが、著者の考えに基づいて現行の形から変形された話も見受けられるため、ニーベルンゲンの歌や、ヴォルスング・サガとして完成された形体の伝承を読みたいという場合には、あまり勧められない。一方で、ホイスラーの解釈や、それに基づくジークフリード伝説の原型については、具体性のある形で目にすることができるだろう。
また、多岐に渡る伝承や類話を収録しているために、個々の伝説については概説的にならざるを得ず、精彩を欠いている。裏を返せば、多くの伝承に触れることは十分可能ということであるが。
挿画は美しく、読むものの目を楽しませ、想像力を励起させるに足りうるものである。ゲルマン英雄伝説に目を通す上で、これはよき助けになると思われる。