あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる
- 八坂書房 (2018年1月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784896942453
作品紹介・あらすじ
西欧中世の王侯はなぜ、「あだ名」とともに呼ばれることが多いのだろう?謎に満ちた「あだ名文化」の実態とその背景を、史料に拠りつつ鮮やかに解き明かし、命名や家門にまつわる疑問の数々に光をあてる。巻末に"中世ヨーロッパ王侯「あだ名」リスト"併録。
感想・レビュー・書評
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bluetooth デンマーク王ハーラル1世から デンマークとスェーデンをまとめて統治できたことから統合=
=接続の象徴に なぜ青歯の名前になったのかは記録の写本ミスの可能性が高い。
カペー朝のカペーも実はフード付きのコート(合羽)のことを指しているようだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中世ヨーロッパ史に登場する「肥満王」「禿頭王」「航海王」「赤公」「寛容伯」「巌窟王」「闘犬侯」のような「あだ名」(上記の一部は適当)が生まれたプロセスを丹念に検証し、「あだ名」の意味合い、使われる理由を明らかにしていく。歴史研究者の仕事ってこういうチクチクしたものなのね、ということがよくわかる。
巻末付録の「あだ名」300人列記を読むだけでも楽しいけど。 -
[評価]
★★★★★ 星5つ
[感想]
非常に面白い本だった。
最初期のあだ名が同年代に付与されたものではなく、後年になってから付与されたものであったということに始まり、徐々に同年代の人にもあだ名が使われるようになったという事。
王位や皇帝位の序数が最初の王、皇帝になった人物から数えるため、王位と皇帝位の序数にずれが発生していたということや、あだ名の継承により、婚姻における主体がどちらの家系にあったのかなど、大変に面白かった。
また、巻末のあだ名リストを眺めているだけでも、いろんなあだ名があったのだと感心した。 -
一般人がこのタイトルから期待する内容は、巻末の「おまけ」に詰まっている。
中世ヨーロッパ王侯あだ名リスト、総まくり300名。聖ルイとかフリードリヒ・赤髭とかの有名どころだけでなく、田舎の木っ端領主(失礼)も本名・簡単な系譜・エピソード付きで網羅されている。眺めているだけで楽しい。
…のだが、本文が致命的に面白くない。序章のしょーもないオヤジギャグを見て、「おっ」と抱いた期待の裏切られっぷりったらなかった。
なんとなれば。叙述が学術的にすぎるとか、こんなのは論文にしろとかいう他レビューの指摘もさりながら、その叙述がむだに攻撃的なのだ。
先人(知らない人)の既存説(よく知らない話)を紹介→それに良く言えば緻密、悪く言えば重箱の隅をつつくような論証を積み重ねて反論→ホラ、これこのとーり先人は間違っているんだよ、先人の説は「取り上げるに値しない」(ホントにこの言いよう)よ。基本構成が、このくり返しなのだ。しかもご丁寧に、1人の先人に対し、このプロセスを2~3回反復している時もあったりして。
ただでさえなじみのない話を、辛気くさい文体とネガティヴなノリで、くどくどとしつっこく聞かされたら…そりゃ、うんざりもしますって。誰だよ、「陰湿なオンナどもなんかと違って、高等な男性様はさっぱり」とか言った奴は。
内容が専門的だとかはこの際どうでもいい。こういった「論争」「論破!」的なことは、内輪の専門誌でやっていただきたい。外野の一般人に見せるべきものではないだろう。
2018/11/5~11/14読了 -
ヨーロッパ中世の歴史を見ていると良く出てくるのが、王侯貴族につけられた「あだ名」。獅子心王とか美公とか黒太子とか失地王とか、いろんなあだ名が出てきます。この「あだ名」って一体なんなの?という疑問に答えてくれる面白い本です。あと、同じ名前がやたらと多い理由も分かります。
しかし、残念なことに読み難い。特に、前半のあだ名に関する詳細すぎる検証は、論文ならば必要でしょうが、読み物としては要らなかったと思います。頻繁に横文字が入るため読み難いし、所々に差し込まれる系図も分かりにくい。内容や着眼点が面白かった分、残念でした。
巻末のあだ名リストは読んでて楽しかったです。カッコいいあだ名から変なあだ名まで、いろんなあだ名が出てきて興味深いものでした。 -
中世の貴人たちのあだ名の由来をエピソードを交えて紹介、っていうのかと思ったら、全然違って、なぜにあだ名が中世の貴人に付けられたのか、付ける必要に迫られたのか、っていうのを、ひとつひとつ事実を積み重ねながら、理論づけていく内容だった。それはそれでいいんだけど、いちいちすべの事細かな事実を並べて、その過程を述べられても、読んでてまったく興味を持てないし、なぜに要約して言えないのか疑問すら感じる。だったら論文にすればいいし、読者を意識した読み物ではないと思う。
いや、着想はほんと好きなゾーンだし、導かれた答えはとても納得できるものだった。それだけにもっと読み物として、面白くできなかったのかなと思ってしまう。各人の顔の絵がはいった家系図の図版はとても面白かったけど。 -
ヨーロッパって獅子心王とか美公とか青歯王とかあだなついてる人多すぎ、あと同じ名前の人多すぎ、と思っていたところに出会った本。
カペー、カロリング、って姓ではない。
「〇〇の子××」で識別してた。
自分の子がどの親族に属しているかが基準で名前が決まっていた(ので祖先の名をつける)。
などなど、目からウロコが落ちまくり。
巻末のあだ名リストも楽しい。 -
ヨーロッパの王侯貴族の系図に現れる、あだ名の数々。
これらは、いつから、どのように発生したか?
巻末の中世ヨーロッパ王侯《あだ名》リストは壮観!
だが内容は、《あだ名》から始まる中世ヨーロッパの諸事情。
あるあだ名についての解明から本格的に検証が始まるのだけど、
ここが難関。実に丁寧に史料を読み解いていく過程が・・・。
でも、頑張って読んでいくと実に面白い。
姓が無かったという時代があった!
何故、同じ名前が子孫に多く現れるのか?
領地、修道院、石造の城の始まり、言語、文化・・・等々、
様々な事情が姓と名前、《あだ名》の問題に影響しています。