- Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
- / ISBN・EAN: 9784897106816
感想・レビュー・書評
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本書を読んでよくわかった点は2点。
・伝わる歴史と事実のギャップ
今に残る歴史というのは支配者側が都合よく作ったものであることが多い。
武田家の通説は、信虎は気性が荒く民衆に対しても酷い扱いが多く、一方信玄は民衆のことをよく考えた政治・民政を行った。また信玄は暴君である父・信虎を追放した。
これは山梨県(武田家)の歴史書である「甲陽軍鑑」から伝わっているものである。
しかし本書では山梨県の各地に伝わる風土記や記録なども扱っている。その中で信虎は民衆のことを考え農作物や生活用品などを寄付した、与えたと伝わり、(民衆に対しては)とても温厚な人物であると伝わる。
新しい支配者が前支配者を追放するのは戦国時代ではごくごく普通のことで、信玄が政権を得た後の治世において信玄の行動を正当化するために甲陽軍鑑は現在の伝承の通りにしたのだろう。
何が言いたいかというと、歴史を学び上述した内容がわかるということは、現在の日本のニュースだったり報道で伝わることが必ずしも正確な事実ではないかもしれないと気がつくことができる。
情報発信者の意図を考えることは、自分の生活の質をあげるためには大切なことではないだろうか。
・都留市の独立性の背景(推察)
都留市は現在、独自の政策を施行したりスポーツにおいても独立している(気がするw)調べてもらえば様々なことがわかると思うが、その背景を本書を読んだことで少し考えることができた。
(一部内容まとめ)
「甲斐の有力武将は南巨摩郡の穴山氏と都留の小山田氏で、後者は都留の地域の人からの評判は厚いが国中(甲斐国内)から見たら武田の敵(元)でいい目で見られなかった。」
つまり、都留市の地域は戦国時代のその前から独立していたのである。というより違う支配者が治めていたのである。ゆえに、DNAとして残っている、いわゆる地域性というものとして残っているのではないかと推察した。
歴史書は単に歴史を知るだけでなく、様々なことに派生して応用できる。詳細をみるコメント0件をすべて表示